2010年5月24日月曜日

株式会社立

学校は、法律で国、地方公共団体か学校法人しか設立できませんが、特区で株式会社立も認められています。特区で例外的に認める必要があるということは、学校法人の設立が難しいからに他なりません。詳しくは、今後、じっくり説明しますが、一番の問題はお金です。

株式会社であれば、資本金が1円でも設立できます。しかし、学校法人は学校を作るのに必要なお金に加えて、当面の運転資金も現金で保有していなければ認可されません。これは、認可されたものの、すぐに倒産などということがないようにするためです。その分、法人税などが免除されるなど、各種の優遇を受けることができす。

特区で株式会社での学校参入が認められた直後は、多くの株式会社が学校経営に参入しましたが、その大半が徹底もしくは苦戦を強いられています。原因は簡単です。お金がないから特区を使って参入した訳ですから、潤沢な自己資金を持っている学校法人に比べれば、利子や配当負担のある資金では不利になります。加えて、税負担もあります。上場して市場から新たな資金調達ができること以外、有利な点はないでしょう。

生徒や保護者から見ても、経営が不安定な株式会社立を積極的に選択する理由は見いだせません。もちろん、世界に名前の通っているような大企業が参入すれば、話は違ってくるかも知れませんが、そのような動きは見受けられません。また、これから学校を作ろうという人には、関係のない話です。

学校を作ってしまえば、母体が株式会社か学校法人かは、学んでいる人には関係のない話ですが、作る側には大きな選択となります。株式会社にもメリットはありますが、以下の理由で、私は学校法人をお勧めします。

1.撤退が続いており、社会的な評価が良くない
2.上場した場合、誰が株主になるか分からず、学生や保護者が株主となった場合、公平な教育が行える保証がない
3.税制面の不利がある
4.寄付をした人の所得控除が使えない(寄付を集めにくい)

特区で認められている以上、行政としても表向きは受け付けるでしょうが、実際は、学校法人での申請を強く勧められると思われます。実際、当初は株式会社での参入を表明したところが、最終的には学校法人で申請したり、いったん株式会社で設立したものの、学校法人に変更した例が相次いでいます。

株式会社での参入を認めるという特区の精神は良かった思いますが、特区が経済的な側面しか見ないため、永続的に学校を運営するための仕組みについての検討が足りなかったのでしょう。残念ですが、特区による株式会社での学校設立は失敗と思います。

そのため、これから学校を作る場合は、学校法人を前提に考えてください。学校法人の設立も難しくはありません。もちろん、株式会社よりは時間も手間もかかりますが、それに見合ったメリットがあります。そして、目指す教育を後世に残すための最善の方法なのです。

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