2010年5月26日水曜日

学校法人のメリット(1)

1条校を設置するには、民間では学校法人を作るしかないということはすでに書きました。特区を使えば株式会社でも学校を作ることはできますが、総合的に判断して、学校法人での設立をお勧めします。これから理由を書いていきます。

まず、何と言っても税金面の優遇があります。その中でも一番大きいのが法人税です。通常、株式会社は、その利益に対して30%の法人税や地方税である法人事業税などが課せられています。しかし、学校法人は、そのそも納税義務者に含まれていません。法人税法4条で、納税義務者が規定されているのですが、「内国法人は、この法律により、法人税を納める義務がある。ただし、公益法人等又は人格のない社団等については、収益事業を行う場合・・・に限る。」となっています。


別表第2で、この公益法人が具体的に列挙されているのですが、社会福祉法人や宗教法人と並んで学校法人も明記されています。また、専修学校のみを設置している学校法人も含めると書かれています。


ということは、法人税については、免税というより、そもそも納税義務がないということになります。ただし、収益事業を行う場合は、納税義務があります。逆に言えば、収益事業以外は非課税ということになります。収益事業は、学校の運営を財政面で支援するために、収益を目的として学校法人が行う事業なのですが、何でも良いというわけではありません。日本産業分類に基づいて18種類が指定されています。18種類となると実質的にほとんどの業種が含まれ、禁止されているのは、貸金業、クラブ・キャバレー、武器製造、風俗業など、常識的に考えて教育になじまない業種に限られます。


つまり、学校法人は、学校以外の事業をすることは可能ですが、その場合は、課税されるということです。ただし、その場合でも、課税されるのは、収益事業に関する収益に対してであり、学校事業は課税されません。

しかも、この収益事業への課税も22%(一般法人は30%)という軽減税率が適用されます。しかも、みなし寄付金制度があり、所得の半分か200万円までであれば、学校に寄付したとみなして、損金として処理できます。つまり、乱暴に言えば、利益の半分にしか課税されないということになります。

一般法人の方から見れば、不公平な感じがしますが、これは、学校法人は教育を目的とし、本来であれば、国や地方公共団体が税金で行うべき教育の一部を民間が担っているため、その目的のために使われるお金であれば課税しないという考えに基づいています。学校法人が収益事業で利益を出しても、それは学校のために使われることを予定しているわけですから、課税する必要がないというわけです。

0 件のコメント:

コメントを投稿