2010年6月20日日曜日

学校法人の基本的な性質3

学校法人の運営は理事が担うことになりますので、この理事の役割を理解することが、学校法人の理解に役立ちます。

まず、基本的な事項です。学校法人の理事は5名以上で、そのうち一人が理事長になります。その理事で理事会を構成し、理事会は「学校法人の業務を決し、理事の職務の執行を監督する」(私立学校法36条2)ことになります。平たく言えば、方針を決定、その方針通りに運営されているかを監督することです。そして理事長は「学校法人を代表し、その業務を総理」(私立学校法37条1)します。

この理事は、会社の取締役同様に登記し(組合等登記令)し、かつ所轄官庁に届出(私立学校法施行令1条1)をする必要があります。以前は、理事全員の登記が必須でしたが、平成17年4月より、理事長と寄附行為で定めのある理事のみを登記すれば良いとことになりました。

これの意味するところは、理事全員で協議していたのでは、変化の早い時代に合わず、理事長に権限と責任を集中して、スピード感のある運営を目指そうということです。

そうなる、理事長の独裁になるのではないかとう懸念がありますが、ちゃんと抑止する仕組みがあります。

まず、理事長は代表ではあっても、業務を決定するのは理事会ですので、理事会の反対を押し切ってすべてを決定することはできません。その理事会は過半数の出席なければ成立せず、過半数の賛成がなければ決定できません。

さらに、その理事会を身内で固めようと思っても、3親等以内は一人しか入れることはできません。また、その学校法人が設置する学校の長を一人は理事に入れる必要があります。

理事会の暴走を防ぐために、監事と評議員会を置くように義務付けられています。監事は学校法人の業務や財産の状況を監督し、評議員会は重要な事項に関して、理事会に意見を述べたり、報告を聞いたりします。この評議員会の代表が最低一人は理事になります。また、評議員には、その学校法人の職員や卒業生を加えることが義務付けられています。

このように、理事会の暴走や理事長の私物化を防ぐ仕組みが一応は用意されています。しかし、それは企業における取締役会や株主総会のそれと同じく、法律の理念と現実が必ずしも一致しているとは言えません。このあたりは、今後、詳しく書いていきます。

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