2010年8月22日日曜日

収益事業(寄附行為の書き方)

(収益事業)

第五条 この法人は、その収益を学校の経営に充てるため、次に掲げる収益事業を行う。

一 書籍・文房具小売業
二 各種食料品小売業


学校法人は財団法人の性質を引き継いでいますので、創立者などによって寄付された財産を運用して得た収益で事業を行うこともできます。収益を得ることで、本来の目的である学校の運営を安定的に行うことができます。そのため、学校法人が収益を得るために事業を行うことは、教育に支障のない範囲で認められています。しかし、投機的な事業や社会通念上、好ましくない事業を行うことは好ましくありません。そこで、学校が行うことが認められている事業は下記の通り、文科省で定められています。

http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/k20000327001/k20000327001.html

一 農業、林業
二 漁業
三 鉱業、採石業、砂利採取業
四 建設業
五 製造業(「武器製造業」に関するものを除く。)
六 電気・ガス・熱供給・水道業
七 情報通信業
八 運輸業、郵便業
九 卸売業、小売業
十 保険業(「保険媒介代理業」及び「保険サービス業」に関するものに限る。)
十一 不動産業(「建物売買業、土地売買業」に関するものを除く。)、物品賃貸業
十二 学術研究、専門・技術サービス業
十三 宿泊業、飲食サービス業(「料亭」、「酒場、ビヤホール」及び「バー、キャバレー、ナイトクラブ」に関するものを除く。)
十四 生活関連サービス業、娯楽業(「遊戯場」に関するものを除く。)
十五 教育、学習支援業
十六 医療、福祉
十七 複合サービス事業
十八 サービス業(他に分類されないもの)

これらの中で、実際の行う事業を寄附行為に記載することが求められています。記載にあたって、できるだけ具体的な内容を列記する必要があります。例にあるように、単に「小売業」とするのではなく、「書籍・文房具小売業」のように書きます。

ただし、学校の教育の一部として又はこれに付随して行われる事業、例えば、生徒や学生向けに売店での文房具販売や食堂などは、収益事業ではなく、付随事業または付帯教育事業として、収益事業には含まれませんので、ここに記載する必要はありません。

ちなみに、この収益事業で得た利益の法人税は22%の優遇税率が適用されます。さらに、200万円または50%のいずれか金額の多い方を限度に、学校法人へ寄付したとみなして損金算入できます。

かなり有利ですので、教育内容に関連性のある収益事業を行う方が有利と思われますが、実際に、寄附行為に収益事業の規定を盛り込んでいる学校法人は2割にも満たないようです(私学経営研究会データ)。ノウハウもなく安易に事業に手を出すのは考えものですが、もともと事業を行っている人が学校法人を設立するのであれば、従来の事業を学校法人の収益事業と位置づけるのも一手かも知れません。

なお、事業を別会社とした場合は、法人税の優遇はありませんが、学校法人への寄付は損金算入できますので、収益事業とせず、子会社という選択肢も検討に値します。

なお、この収益事業は登記事項になります。

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