2010年9月30日木曜日

理事の代表権の制限(寄附行為の書き方)

(理事の代表権の制限)
第十四条 理事長〔及び常務理事〕以外の理事は、この法人の業務について、この法人を代表しない。


この条文は任意になります。以前は、理事全員が学校法人を代表し、登記もする必要がありましたが、私立学校法が改正され、代表する理事を制限することが可能となりました。代表を理事長のみとしたい場合は、このような条文を寄附行為に盛り込む必要があります。逆に言えば、このような条文がなければ、理事全員が代表とみなされますので、注意が必要です。

2010年9月28日火曜日

常務理事の職務(寄附行為の書き方)

(常務理事の職務)
第十三条 常務理事は、理事長を補佐し、この法人の業務を分掌する。


常務理事は特に必置ではありませんので、この条文は任意です。大きな学校法人でない限り、理事長が常勤していれば、他は非常勤でも問題ないでしょう。

常務理事以外に副理事長や専務理事などを置く場合は、ここでその名称と職務を明記しておきましょう。

2010年9月23日木曜日

理事長の職務(寄附行為の書き方)

(理事長の職務)
第十二条 理事長は、この法人を代表し、その業務を総理する。


この条文は私立学校法第37条の「理事長は、学校法人を代表し、その業務を総理する。」の文言そのままです。

理事長は、学校法人の代表で、そのすべての責任を持つということですが、理事長のみが代表するかどうかは、寄附行為の規定次第です。かつては、理事の全員が学校法人を代表するのが前提でしたが、私立学校法が改正されて、第37条の2項に「理事(理事長を除く。)は、寄附行為の定めるところにより、学校法人を代表し」とされたことから、理事が代表するかは、寄附行為で定めることになります。逆に言えば、理事長は代表から逃れることはできず、代表者としてすべての責任を負うことになります。

理事長は、登記することになります。また、代表権を持つ理事も登記します。登記される代表権のある理事長や理事と、代表権のない理事では、その職務と責任で大きな違いがあります。登記されていないということは、外部との関係において理事であることが明確ではないことから、学校法人を代表しての法律行為は無効となる場合があります。

なお、大学・短大・高等専門学校を設置する学校法人では、文科省が別途定める「学校法人の寄附行為及び寄附行為の変更の認可に関する審査基準」(平成十九年文部科学省告示第41号)で、「理事及び監事は、他の学校法人の理事又は監事を四以上兼ねていない者であること」および、「理事長は、他の学校法人の理事長を二以上兼ねていない者であること」と定められています。理事を依頼する際に、他の学校法人理事との兼務状況を確認する必要があります。

2010年9月15日水曜日

役員の解任及び退任(寄附行為の書き方)

(役員の解任及び退任)
第十一条 役員が次の各号の一に該当するに至ったときは、理事総数の四分の三以上出席した理事会において、理事総数の四分
の三以上の議決及び評議員会の議決により、これを解任することができる。
一 法令の規定又はこの寄附行為に著しく違反したとき。
二 心身の故障のため職務の執行に堪えないとき。
三 職務上の義務に著しく違反したとき。
四 役員たるにふさわしくない重大な非行があったとき。
2 役員は次の事由によって退任する。
一 任期の満了。
二 辞任。
三 学校教育法第九条各号に掲げる事由に該当するに至ったとき。


私立学校法では、役人の解任方法を寄附行為に盛り込むことは求めていますが、具体的な方法は定めていません。そのため、この見本通りである必要はありません。一般的に解任の方法を定めるには、その手続と基準ということになりますが、ここでは、理事の4分の3以上の出席で、かつ出席者の4分の3以上の賛成となっています。これはかなりハードルが高いと思われます。単に、理事の4分の3以上とか、3分の2以上という定め方や、評議員会の議決や意見を求める方法もあります。

解任の基準は、見本にあるような書き方で問題はありませんが、「著しく」とか「重大な」という言葉を使うと、後日、争いになった際に、解任が無効とされる可能性も出てきますので、盛り込もないという選択肢もあるかと思います。

退任の理由は、一般的にはこれらで十分でしょう。学校教育法9条とは、教員の不適格条項を定めた条文で、被後見人、禁錮以上の刑を受けた、公立教員として懲戒処分を受けた、教員免許を取り上げられた、政府を暴力で破壊することを主張する政党や団体を結成したり加入したものなどを指します。教員になれない人は役員にも相応しくないという考え方でしょうが、必ずし言い切れない場合も想定するのであれば、ここは個別に退任理由を列挙しても良いかも知れません。

2010年9月12日日曜日

役員の補充(寄附行為の書き方)

(役員の補充)
第十条 理事又は監事のうち、その定数の五分の一をこえるものが欠けたときは、一月以内に補充しなければならない。

これは私立学校法40条に規定されている内容です。理事は5名、監事は2名以上が必須ですので、最低限の理事・監事しかいない場合、一人でも欠けると1ヶ月以内に補充しなければならないことになります。このことを考慮すると、理事を6名以上にしておくという手もあります。1ヶ月の猶予はありますので、代わりの理事や監事を速やかに選任できれば済むことですが、私学の経営が厳しい昨今ですので、すぐに引受けてが見つかるかは考慮しておく必要があるかも知れません。

2010年9月9日木曜日

役員の任期(寄附行為の書き方)

(役員の任期)
第九条 役員(第七条第一項第一号に掲げる理事を除く。以下この条において同じ)の任期は、○年とする。ただし、補欠の
役員の任期は、前任者の残任期間とする。
2 役員は、再任されることができる。
3 役員は、任期満了の後でも、後任の役員が選任されるまでは、なお、その職務を行う。


この条項は一般的な内容で、特に問題はないかと思います。学長・校長の理事は、学長・校長の在任中は理事の任期が継続し、それ以外の理事は、ここで定める期間となります。私学経営研究会のアンケートによると、4年が最も多く49%、次が3年の31%、2年14%、5年3%の順になっています。

2010年9月4日土曜日

監事の選任(寄附行為の書き方)

(監事の選任)
第八条 監事は、この法人の理事、職員(学長(校長、教員その他の職員を含む。以下同じ)又は評議員以外の者であって) 。
理事会において選出した候補者のうちから、評議員会の同意を得て、理事長が選任する。


私立学校法38条の4に「監事は、評議員会の同意を得て、理事長が選任する。」となっていますので、この部分は変えることはできません。監事の役割を考えると理事会で選出したり、理事長が選任するので良いのかという議論もある得ますが、理事長が選任する部分は法律で定められていますので、これに従うしかありません。

法律も、さすがに理事や職員が監事を兼任するのは好ましくないということで、同法38条の5で禁止しています。もちろん、職員の人が監事に就任すると同時に職員を辞めれば問題ありません。これは、株式会社の監査役でもよくあることです。監事を退任したら、復職することも問題ありませんが、法の主旨からすると疑問は残るところでしょう。