2010年7月29日木曜日

寄附行為とは

どんな種類の学校があるかを概観しましたので、作りたい学校がおぼろげながら見えてきたでしょうか。その学校を作るためには、学校法人を作ることが前提になります。もちろんん、特区で株式会社立というのもありますが、当初の資金が少なくても済むという以外に、有利な点はなく、生徒さんにとっては、何もメリットがありませんので、ここでは学校法人を前提にします。

そこで、ここからは、学校法人の作り方を詳細に見ていきます。学校法人で最も重要な取り決めが寄附行為と言わるものです。株式会社で言う定款にあたります。学校法人の認可はこの寄附行為が適切かどうかの審査になりますので、認可されるかどうかは、この寄附行為次第ということになります。この寄附行為の認可と学校の認可は、別々に審査されます。

寄附行為は、学校法人の認可後に変更も可能ですが、後から変えればいいと安易に考えずに、じっくり時間をかけて検討されることをお勧めします。

では、次回から、具体的な寄附行為の作り方を解説します。

専修学校とは

専修学校といわれてもピンと来ないかもしれませんが、専門学校を含めた学校種になります。専修学校には、中卒者対象の高等課程(3年以上)、高卒者対象の専門課程(2年以上)、それ以外の一般課程(1年以上)があり、高等課程を置く専修学校を高等専修学校、専門課程を置く専修学校を専門学校と言います。そのため、専門学校は法律で定義された用語ということになるのですが、いわゆる専門的なことが学べるスクールも専門学校と誤用する新聞も散見され、正しく認識されていないのが現状です。

この専修学校は、学校教育法の1条にある学校の定義には入っていなく、124条に登場します。そのため、法律的には、学校にもかかわらず高校や大学とは違う扱いを受けるという状態が続いています。専修学校関係者は、なんとか1条で定義してもらおうといろいろ活動しているようです。

学校教育法の1条で定義されていないこと、認可が都道府県知事であること、補助金がほとんど出ないことなどから、新設の認可は受けやすい学校ということになります。

設置基準は、都道府県ごとに若干違います。また、課程によりますが、1クラス40名以下で、1クラスにつき教員が1名で最低は3名、校舎は一人につき3平米程度が目安となります。たとえば、服飾系の専門課程(2年制)で定員が1学年40名(総定員は80名)であれば、教員は3名、校舎は260平米となっています。運動場はなくても大丈夫ですので、比較的少ない資金で作ることができます。

2010年7月25日日曜日

高等専門学校とは

略称を高専と言うことが多い高等専門学校ですが、高等専修学校や専門学校とは、まったく違う学校になります。また、全64校中、私立が3校しかないため高専は国公立しかないと思っている人も多いのではないでしょうか。

しかし、高専は高校と短大を合わせたような5年制(商船学科は5年半)の学校です。そのため、先生も大学・短大のように教授、准教授のように呼びます(ただし、トップは学長ではなく校長)。卒業すれば、短大卒業と同様に準学士となり、大学編入資格があります。また、3年を終えた段階で大学の受験資格もあります。もちろん、学校法人でも設置基準をクリアすれば作ることはできます。専門と名前が付いている通り、専門的な職業教育が目的となります。

その設置基準は、やはり高校と短大をミックスしたような内容になっていて、1クラス編成(つまり5学級)の場合、校舎は1653平米以上で校地は一人10平米、教員は一般科目担当として最低10名で、加えて専門科目担当の教員が必要となります。運動場も必要ですので、都会での新設のハードルは高いと言えます。モノづくり日本を支える学校ですので、地方で寮を設置して、じっくり5年かけて技術を伝えるような形態が考えられるかも知れません。

2010年7月21日水曜日

大学とは

大学が一番、変化しています。そのため、十数年以上前の経験はあまり役に立たないかも知れない。例えば、専門職大学院、複数の大学による共同学科や共同設置大学院という制度ができたり、インターネットによる授業が認められたり、卒業に必要な124単位すべてを大学に通うことなく修得できる通信制大学が認められたり、助教授が准教授に呼び方が変わったりなどです。

その中でも一番大きな変化は、事前審査から事後審査という大きな方向転換がされたことでしょう。以前は、事前に厳しい審査をして新設を抑制していましたが、いまは、新設時の審査は緩くして、その代わりに、7年ごとに第3者の評価機関に点検してもらおうというものです。

その間に、設置基準も緩和される方向で改正されています。設置基準は、学部ごとに定められていますので、ここでは、一例だけ書きます。例えば、文学・教育・保育系であれば、教員は、定員320~600人の場合10名、校舎は定員200名までは2644平米以上、校地は学生一人あたり10平米となっています。しかし、実際には、細かな規定がいろいろあり、かなり複雑になっています。

また、幼稚園・小中高のように教員免許制度がないため、誰も大学教員になれるのですが、大学設置のときだけは、文科省が教員の審査をすることになります。他の大学で教授をしている人でも、科目ごとに審査するために、この審査で落ちることもあります。大学の新設では、この教員審査が一番のハードルと言えます。

大学については、小中高とは違って、歴史的にも特別な位置づけとなるため、その制度や設置の手続きについては、複雑なものとなっています。詳しくは、本編で書きます。

2010年7月17日土曜日

特別支援学校とは

特別支援学校とは、かつての養護学校、聾学校や盲学校などと言われていた学校の総称で、平成19年から、特別支援学校という名称に統一された。学校教育法では、「視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者、肢体不自由者又は病弱者(身体虚弱者を含む。以下同じ。)に対して、幼稚園、小学校、中学校又は高等学校に準ずる教育を施すとともに、障害による学習上又は生活上の困難を克服し自立を図るために必要な知識技能を授けることを目的とする。」となっています。

全部で1030校あり、ほとんどが公立ですが、私立も14校あります(平成21年度学校基本調査)。

設置基準は、幼稚園、小学校、中学校、高校のそれに準じます。基本的に小学校と中学校は同時に設けることになっているほか、寄宿舎の設置も求められています。

特別支援学校を単独で設置した場合、経営的には難しいものがありますので、大学の付属校や、小学校や中学校を設けている学校が併設するなどの方法を検討する必要があります。

2010年7月12日月曜日

中等教育学校とは

中等教育学校と聞いてすぐに理解できる方は、中学の受験生を抱えた保護者の方か、教育関係者くらいかも知れません。中等教育学校という制度ができたのは平成10年で、まだ42校(平成21年度学校基本調査)しかありません。

中等教育学校とは、中学と高校を一緒にした6年制の学校です。しかし、いわゆる中高一貫校とは違い、1つの学校です。とはいえ、前半の3年が中学相当、後半の3年が高校相当と見なされます。また、中学と高校が同一の設置者であれば、中等教育学校のように一貫して教育することも認められていますので、中高一貫校と中等教育学校の違いは少ないと言えます。

大きな違いは、公立の場合、中学は義務教育のため学力による選抜はできません。そのため、中等教育学校でも学力試験は課されません。そのまま入試なしで高校に入れるのと同じ効果が得られます。ただし、人気校は、調査書・面接・抽選などでの選抜は行われます。また、中高一貫校では、高校進学時に入学金が必要な学校もありますが、中等教育学校は1つの学校なので、必要ありません。

設置基準は、中学と高校のそれを準用することになります。

そもそも、中等教育学校は、私立学校が中高一貫教育で人気を得たため、公立も同様の学校を作れるようにと設けられた制度です。義務教育が中学校までですので、そういう意味では無理のある制度ですが、6年間を一貫したカリキュラムで教育できるというメリットもあります。しかし、認知度という面で不利ですので、いきなり新設で中等教育学校を設けるのは、生徒募集上、ハードルが高いかも知れません。

2010年7月11日日曜日

高等学校とは

高校で、中学と大きく違うのは、全日制、定時制、通信制という課程があることです。定時制とは学校教育法の4条で「夜間その他特別の時間又は時期において授業を行う課程」とされ、通信制は「通信による教育を行う課程」と定義されています。

かつて、定時制は夜間に行われていましたが、今は、多部制といって、昼間や夕方に全日制より短い時間割で行うケースもあります。また、通信制は通信教育ですが、面接指導(スクーリング)として、一定時間の教員による直接指導が必須となっています。いずれも、いまは3年で卒業できます。

また、中学と違って単位制という方法が認められています。単位制に対する言葉は、学年制です。学年制は、1年分の学習を全部終えると、進学が認められるのに対して、単位制は、卒業に必要な単位(現在は74単位)を3年以上かけて取得すれば卒業できる仕組みです。

さらに、専門学科というのがあります。普通科に対して、農業科や商業科と言った学科で、14例が明示されていますが、その他も認められています。

全日制と定時制の設置基準は、校舎においては定員120名以下は1200平米、121~480は1200+6×(収容定員―120)、481~は3360+4×(収容定員―480)、運動場は定員に関わらず8400平米以上ですが、体育館などで代替が可能となっています。教員は概ね1クラスに一人となっています。

通信制は、校舎は定員に関係なく1200平米以上で、運動場は特に必要ありません。教員は5名以上となっています。

2010年7月7日水曜日

中学校とは

中学校の設置基準は、小学校のそれと基本的に同じですが、校舎、運動場の面積が広くなります。具体的には、校舎は、40人以下が600平米、41人~480人の場合は、600+6×(生徒数-40)、481人以上は、3240+4×(生徒数-480)で計算します。運動場は、240人以下が3600平米、241人~720人が、3600+10×(生徒数-240)、721人以上は8400平米となっています。

具体的に計算してみると、1クラス40名で3学年ですので、120人が最低限となり、校舎は600+6×(120-40)=1080平米、運動場は3600平米は必要となります。

余談になりますが、中学校には通信教育に関する規定も設けられています。しかし、入学できるのは、「昭和二十一年三月三十一日以前の尋常小学校卒業者及び国民学校初等科修了者に限る。」となっているため、実質的に通信制の中学を作ることはできません。しかし、なんとか中学で不登校などの生徒さんのために通信制の中学が作れないかと、特区で申請したこともありましたが、あっけなく却下されました。

2010年7月1日木曜日

小学校とは

次は小学校です。実は、私が受ける相談で、一番多いのが小学校を作りたいというものです。おそらく、お子様が小学校に通われていて、相当、不満があるのfでしょうね。幼稚園は、選択の余地がありますし、保育所に預けたり、通わせないという方法もありますが、小学校は避けて通れません。しかも、6年間もあります。

ところが、この小学校を作るというはなかなか大変です。その証拠に、学校数を見れば分かります。21年度の文科省の学校基本調査によると、公立21974校、国立74校に対して、私立は210校しかありません。この私立も多くは、大学や中高の系列校ですので、小学校のみの私立学校というのは、極めて例外的な存在と言えるでしょう。

多くの親が現状の小学校を不満に思って、自分で学校を作ろうとまで考えているにも関わらず、私立小学校が少ない理由は簡単です。ライバルの公立の授業料が無料だからです。同じ理由で中学も少ないですが、中学は高校との一貫校が多いですので、小学校は公立で、中学から私立というのが一般的だからです。

この小学校を作る場合の基準は、「小学校設置基準」という文部科学省令に定められています。この省令ですが、制定されたのが平成14年と最近です。それまでは、私立の小学校が新設されるということを想定していなかったのか、その都度、裁量で判断していたようです。この基準が制定されたことで、小学校が作り易くなりました。

簡単に基準を見ると、次のとおりです。

・1クラスは40人以下
・先生は1クラスにつき一人
・校舎は、生徒40人以下は500平米、41人~480人は、500平米プラス40人を超えた人数につき5平米、481人以上は、2700平米プラス480人を超えた人数につき3平米
・運動場は240人以下は2400平米、241人~720人は、2400平米プラス40人を超えた人数につき10平米、721人以上は、7200平米。

小学校は6学年ありますので、原則として240人が最小人数です。この場合、校舎は500+(240-40)×5=1500平米。運動場は2400平米以上が最低基準ということになります。

2400平米の運動場以外に、1500平米の校舎を建てることができる土地が必要です。3階建が建築可能としても、約3000平米の土地が必要ということになります。土地があれば、どこで小学校を作れるかと言えば、別の規制もあります。これについては、あとで詳しく書きますが、とりあえず、どれくらいの土地が必要かは理解しておいてください。