2010年12月26日日曜日

資産の区分(寄附行為の書き方)

(資産の区分)
第二十八条 この法人の資産は、これを分けて基本財産、運用財産〔及び収益事業用財産〕とする。
2 基本財産は、この法人の設置する学校に必要な施設及び設備又はこれらに要する資金とし、財産目録中基本財産の部に記載する財産及び将来基本財産に編入された財産とする。
3 運用財産は、この法人の設置する学校の経営に必要な財産とし、財産目録中運用財産の部に記載する財産及び将来運用財産に編入された財産とする。
4 収益事業用財産は、この法人の収益を目的とする事業に必要な財産とし、財産目録中収益事業用財産の部に記載する財産及び将来収益事業用財産に編入された財産とする。
5 寄附金品については、寄附者の指定がある場合には、その指定に従って基本財産、運用財産〔又は収益事業用財産〕に編入する。

学校法人は設立時に創設者から寄付された財産で学校を運営するための法人ですので、学校の認可を受けるに足りる校地や校舎といった財産を保有しています。この基本的な財産に加えて、将来校舎を建て替えたり、増改築するために蓄えている財産が基本財産です。
また、学校を運営していくのに必要な財産を運用財産です。これは、ほとんどの場合は現預金ということになります。さらに、学校法人は、学校以外の事業を行って収益を上げて、その収益を学校のために使うことができます。これを収益事業と言いますが、この収益事業のための資産を収益事業財産と言います。賃貸用のビルや駐車場を保有しているなどが該当します。

2010年12月23日木曜日

資産(寄附行為の書き方)

(資産)
第二十七条 この法人の資産は、財産目録記載のとおりとする。


学校法人は財団法人から枝分かれしたため、財団法人の性質を残しています。この財産目録もその1つと言えます。学校は、校舎、校地や教具など高額な資産を多く保有しています。その多くは開校時に誰かから寄付されたか、寄付されたお金で購入したものです。これらの資産を正しく把握し、管理することは学校法人にとって重要な業務ということになります。

財産目録には、資産だけでなく負債も記載します。資産には基本財産として、土地、建物、教育用機器備品、図書などがあります。これら以外に、運用財産として有価証券や預金などがあります。基本財産とは、学校の運営に必要不可欠な資産で、運用財産は学校の運営を行うために備えておく財産のことで、理想的には、この運用財産の利息や配当で学校の運営費が賄われることですが、日本の学校法人でこれが実現できているところはおそらくないでしょう。

いずれにせよ、決算時にはこの財産目録を作成することになります。詳しくは次条に出てきますので、そちらで触れることにします。

2010年12月19日日曜日

評議員の解任及び退任(寄附行為の書き方)

(評議員の解任及び退任)
第二十六条 評議員が次の各号の一に該当するに至ったときは、評議員総数の三分の二以上の議決により、これを解任することができる。
一心身の故障のため職務の執行に堪えないとき。
二評議員たるにふさわしくない重大な非行があったとき。
2 評議員は次の事由によって退任する。
一任期の満了。
二辞任。


解任の手続きに関する条項ですが、この条項がなければ、評議員の職務を継続できないような事態でも、解任することができなくなりますので、具体的な手順は盛りこんでおくべきでしょう。解任方法は評議員総数の3分の2以上とする以外に4分の3以上としたり、出席者の3分の2以上や4分の3以上という規定も考えられます。さらに、理事会での議決を必須とすることもできますが、評議員会が理事会への意見具申を目的とすることから、理事会の議決を求める規定は少数派です。

2010年12月13日月曜日

任期(寄附行為の書き方)

(任期)
第二十五条 評議員の任期は、◯年とする。ただし、補欠の評議員の任期は、前任者の残任期間とする。
2 評議員は、再任されることができる。

評議員の任期も理事に合わせるのが一般的で、理事の任期は4年というところが多いようです。理事と評議員の任期が同じ場合、通常は同時に改選の時期を迎えます。その場合、評議員の中から理事を選出したり、評議員を理事会で選出する規定になっていると、理事会と評議員の議事進行がややこしくなります。これらの手順が正しくないと、理事長の選出手続きが問題視されて、登記ができないという事態になります。最初の改選の際は、行政書士や監督官庁に確認をとりながら進めた方が良いかと思います。また、最近は法務局も親切になっていますので、窓口で相談も可能なようです。

2010年12月8日水曜日

評議員の選任(寄附行為の書き方)

第二十四条 評議員は、次の各号に掲げる者とする。
一この法人の職員で理事会において推せんされた者のうちから、評議員会において選任した者◯◯人
二この法人の設置する学校を卒業した者で年齢二十五年以上のもののうちから、理事会において選任した者◯◯人
三学識経験者のうちから、理事会において選任した者◯◯人
2 前項第一号に規定する評議員は、この法人の職員の地位を退いたときは評議員の職を失うものとする。


この条文も私立学校法をほぼそのまま踏襲したものになっています。私立学校法は以下の通りです。

第四十四条  評議員となる者は、次の各号に掲げる者とする。
一  当該学校法人の職員のうちから、寄附行為の定めるところにより選任された者
二  当該学校法人の設置する私立学校を卒業した者で年齢二十五年以上のもののうちから、寄附行為の定めるところにより選任された者
三  前各号に規定する者のほか、寄附行為の定めるところにより選任された者
2  前項第一号に規定する評議員は、職員の地位を退いたときは、評議員の職を失うものとする。

私立学校法では、各項目ごとの評議員の数は規定していませんので、ここで各私学の個性が分かれることになります。職員代表が多いのか、卒業生か、または、特定の団体などからの代表を加えるような規定も可能です。

もちろん、新設校では卒業生はいませんので、卒業生を輩出するまでは、この評議員の規定は猶予する旨を定めることになります。いずれにせよ、学校法人の運営には職員や卒業生の意見を聞くようにというのが、主旨です。

2010年12月2日木曜日

評議員会の意見具申等(寄附行為の書き方)

(評議員会の意見具申等)
第二十三条 評議員会は、この法人の業務若しくは財産の状況又は役員の業務執行の状況について、役員に対して意見を述べ、若しくはその諮問に答え、又は役員から報告を徴することができる。

評議員会は、この条文にあるように、理事会に意見を述べるのが基本的な機能です。一部の重要な事項については、前条にあるように意見を聞くことを義務としていますが、それ以外の事項についても、評議員会が自発的に意見を述べることができたり、報告を求めることができると私立学校法で明記されています。評議員会の本来的な役割を明記した条文となりますので、このままで良いかと思います。