2010年12月26日日曜日

資産の区分(寄附行為の書き方)

(資産の区分)
第二十八条 この法人の資産は、これを分けて基本財産、運用財産〔及び収益事業用財産〕とする。
2 基本財産は、この法人の設置する学校に必要な施設及び設備又はこれらに要する資金とし、財産目録中基本財産の部に記載する財産及び将来基本財産に編入された財産とする。
3 運用財産は、この法人の設置する学校の経営に必要な財産とし、財産目録中運用財産の部に記載する財産及び将来運用財産に編入された財産とする。
4 収益事業用財産は、この法人の収益を目的とする事業に必要な財産とし、財産目録中収益事業用財産の部に記載する財産及び将来収益事業用財産に編入された財産とする。
5 寄附金品については、寄附者の指定がある場合には、その指定に従って基本財産、運用財産〔又は収益事業用財産〕に編入する。

学校法人は設立時に創設者から寄付された財産で学校を運営するための法人ですので、学校の認可を受けるに足りる校地や校舎といった財産を保有しています。この基本的な財産に加えて、将来校舎を建て替えたり、増改築するために蓄えている財産が基本財産です。
また、学校を運営していくのに必要な財産を運用財産です。これは、ほとんどの場合は現預金ということになります。さらに、学校法人は、学校以外の事業を行って収益を上げて、その収益を学校のために使うことができます。これを収益事業と言いますが、この収益事業のための資産を収益事業財産と言います。賃貸用のビルや駐車場を保有しているなどが該当します。

2010年12月23日木曜日

資産(寄附行為の書き方)

(資産)
第二十七条 この法人の資産は、財産目録記載のとおりとする。


学校法人は財団法人から枝分かれしたため、財団法人の性質を残しています。この財産目録もその1つと言えます。学校は、校舎、校地や教具など高額な資産を多く保有しています。その多くは開校時に誰かから寄付されたか、寄付されたお金で購入したものです。これらの資産を正しく把握し、管理することは学校法人にとって重要な業務ということになります。

財産目録には、資産だけでなく負債も記載します。資産には基本財産として、土地、建物、教育用機器備品、図書などがあります。これら以外に、運用財産として有価証券や預金などがあります。基本財産とは、学校の運営に必要不可欠な資産で、運用財産は学校の運営を行うために備えておく財産のことで、理想的には、この運用財産の利息や配当で学校の運営費が賄われることですが、日本の学校法人でこれが実現できているところはおそらくないでしょう。

いずれにせよ、決算時にはこの財産目録を作成することになります。詳しくは次条に出てきますので、そちらで触れることにします。

2010年12月19日日曜日

評議員の解任及び退任(寄附行為の書き方)

(評議員の解任及び退任)
第二十六条 評議員が次の各号の一に該当するに至ったときは、評議員総数の三分の二以上の議決により、これを解任することができる。
一心身の故障のため職務の執行に堪えないとき。
二評議員たるにふさわしくない重大な非行があったとき。
2 評議員は次の事由によって退任する。
一任期の満了。
二辞任。


解任の手続きに関する条項ですが、この条項がなければ、評議員の職務を継続できないような事態でも、解任することができなくなりますので、具体的な手順は盛りこんでおくべきでしょう。解任方法は評議員総数の3分の2以上とする以外に4分の3以上としたり、出席者の3分の2以上や4分の3以上という規定も考えられます。さらに、理事会での議決を必須とすることもできますが、評議員会が理事会への意見具申を目的とすることから、理事会の議決を求める規定は少数派です。

2010年12月13日月曜日

任期(寄附行為の書き方)

(任期)
第二十五条 評議員の任期は、◯年とする。ただし、補欠の評議員の任期は、前任者の残任期間とする。
2 評議員は、再任されることができる。

評議員の任期も理事に合わせるのが一般的で、理事の任期は4年というところが多いようです。理事と評議員の任期が同じ場合、通常は同時に改選の時期を迎えます。その場合、評議員の中から理事を選出したり、評議員を理事会で選出する規定になっていると、理事会と評議員の議事進行がややこしくなります。これらの手順が正しくないと、理事長の選出手続きが問題視されて、登記ができないという事態になります。最初の改選の際は、行政書士や監督官庁に確認をとりながら進めた方が良いかと思います。また、最近は法務局も親切になっていますので、窓口で相談も可能なようです。

2010年12月8日水曜日

評議員の選任(寄附行為の書き方)

第二十四条 評議員は、次の各号に掲げる者とする。
一この法人の職員で理事会において推せんされた者のうちから、評議員会において選任した者◯◯人
二この法人の設置する学校を卒業した者で年齢二十五年以上のもののうちから、理事会において選任した者◯◯人
三学識経験者のうちから、理事会において選任した者◯◯人
2 前項第一号に規定する評議員は、この法人の職員の地位を退いたときは評議員の職を失うものとする。


この条文も私立学校法をほぼそのまま踏襲したものになっています。私立学校法は以下の通りです。

第四十四条  評議員となる者は、次の各号に掲げる者とする。
一  当該学校法人の職員のうちから、寄附行為の定めるところにより選任された者
二  当該学校法人の設置する私立学校を卒業した者で年齢二十五年以上のもののうちから、寄附行為の定めるところにより選任された者
三  前各号に規定する者のほか、寄附行為の定めるところにより選任された者
2  前項第一号に規定する評議員は、職員の地位を退いたときは、評議員の職を失うものとする。

私立学校法では、各項目ごとの評議員の数は規定していませんので、ここで各私学の個性が分かれることになります。職員代表が多いのか、卒業生か、または、特定の団体などからの代表を加えるような規定も可能です。

もちろん、新設校では卒業生はいませんので、卒業生を輩出するまでは、この評議員の規定は猶予する旨を定めることになります。いずれにせよ、学校法人の運営には職員や卒業生の意見を聞くようにというのが、主旨です。

2010年12月2日木曜日

評議員会の意見具申等(寄附行為の書き方)

(評議員会の意見具申等)
第二十三条 評議員会は、この法人の業務若しくは財産の状況又は役員の業務執行の状況について、役員に対して意見を述べ、若しくはその諮問に答え、又は役員から報告を徴することができる。

評議員会は、この条文にあるように、理事会に意見を述べるのが基本的な機能です。一部の重要な事項については、前条にあるように意見を聞くことを義務としていますが、それ以外の事項についても、評議員会が自発的に意見を述べることができたり、報告を求めることができると私立学校法で明記されています。評議員会の本来的な役割を明記した条文となりますので、このままで良いかと思います。

2010年11月20日土曜日

諮問事項(寄附行為の書き方)

(諮問事項)
第二十二条 次の各号に掲げる事項については、理事長において、あらかじめ評議員会の意見を聞かなければならない。
一予算、借入金(当該会計年度内の収入をもって償還する一時の借入金を除く)及び基本財産の処分並びに運用財産中の不動産及び積立金の処分。
二事業計画
三予算外の新たな義務の負担又は権利の放棄
四寄附行為の変更
五合併
六目的たる事業の成功の不能による解散
〔七収益事業に関する重要事項〕
八寄附金品の募集に関する事項
九その他この法人の業務に関する重要事項で理事会において必要と認めるもの


評議員会は諮問機関であり、私立学校法42条で「次に掲げる事項については、理事長において、あらかじめ、評議員会の意見を聞かなければならない。」と定められています。その事項は、次の7つです。

一  予算、借入金(当該会計年度内の収入をもつて償還する一時の借入金を除く。)及び重要な資産の処分に関する事項
二  事業計画
三  寄附行為の変更
四  合併
五  第五十条第一項第一号(評議員会の議決を要する場合を除く。)及び第三号に掲げる事由による解散
六  収益を目的とする事業に関する重要事項
七  その他学校法人の業務に関する重要事項で寄附行為をもつて定めるもの

寄附行為の見本では、上記に加えて、「予算外の新たな義務の負担又は権利の放棄」と「寄附金品の募集に関する事項」が加えられています。前者は債務保証など、予算に載らない債務などを指しますので、金額によっては重要な事項と言えます。後者も、規模によっては予算に大きな影響を与えますので、重要事項と成り得ます。これら以外でも、重要と思われる事項は、評議員会の意見を聴取することが好ましいということになります。

もちろん、諮問機関ですので、理事会は評議員会の意見に従う必要はありませんが、評議員会の意見に反してまで理事会が強行するのは、正常に理事会が運営されている言い難い状態になります。

2010年11月18日木曜日

議事録(寄附行為の書き方)

(議事録)
第二十一条 第十九条の規定は、評議員会の議事録について準用する。この場合において、同条第二項中「出席した理事全員」とあるのは「議長及び出席した評議員のうちから互選された評議員二人以上」と読み替えるものとする。

この条文は、評議員会の議事録に関するものですが、19条にある理事会に関する議事録の条文をそのまま利用する旨を定めています。ただし、理事会では理事全員の署名押印を求めているのに対し、評議員会では、2名以上の署名人で良いとなっています。評議員の数が多いことから妥当なところです。

2010年11月11日木曜日

評議員会(寄附行為の書き方)

(評議員会)
第二十条 この法人に、評議員会を置く。
2 評議員会は、◯◯人の評議員をもって組織する。
3 評議員会は、理事長が招集する。
4 理事長は、評議員総数の三分の一以上の評議員から会議に付議すべき事項を示して評議員会の招集を請求された場合には、その請求のあった日から二十日以内に、これを招集しなければならない。
5 評議員会を招集するには、各評議員に対して、会議開催の場所及び日時並びに会議に付議すべき事項を、書面により通知しなければならない。
6 前項の通知は、会議の七日前までに発しなければならない。ただし、緊急を要する場合は、この限りでない。
7 評議員会に議長を置き、議長は、評議員のうちから評議員会において選任する。
8 評議員会は、評議員総数の過半数の出席がなければ、その会議を開き、議決をすることができない。
9 前項の場合において、評議員会に付議される事項につき書面をもって、あらかじめ意思を表示した者は、出席者とみなす。
10 評議員会の議事は、出席した評議員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
11 議長は、評議員として議決に加わることができない。

評議員会は、理事会に意見を述べる機関という位置づけが一般的です。意見だからと言って軽視する訳にはいきません。重要な事項については、必ず意見を求めるたり、報告することが要求されています。重要事項については、私立学校に明記されており、22条で扱います。この20条の内容も、多くは法令で求められているものです。私立学校法41条で以下のように規定しています。

第四十一条  学校法人に、評議員会を置く。
2  評議員会は、理事の定数の二倍をこえる数の評議員をもつて、組織する。
3  評議員会は、理事長が招集する。
4  評議員会に、議長を置く。
5  理事長は、評議員総数の三分の一以上の評議員から会議に付議すべき事項を示して評議員会の招集を請求された場合には、その請求のあつた日から二十日以内に、これを招集しなければならない。
6  評議員会は、評議員の過半数の出席がなければ、その議事を開き、議決をすることができない。
7  評議員会の議事は、出席評議員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
8  前項の場合において、議長は、評議員として議決に加わることができない。

重要なのは、評議員の定数で、理事の2倍より多くなる必要があります。理事が5名が最低限ですので、評議員は11名以上ということになります。これは、理事全員が評議員を兼ねたとしても、評議員会の過半数にならないための配慮と思われます。このように、理事会をチェックするのが評議員会の主な役割ということになります。

もちろん、より重要な役割を持たせて、評議員会を意思決定機関とすることも可能ですが、人数が多い評議員会が意思決定をするとなると、迅速な決定という面で支障が出る可能性もあります。かつては、評議員会が意思決定機関であったにも関わらず、諮問機関と位置づけることができるように私立学校法を改正した経緯を考えても、また、評議員の顔ぶれから大きな責任を負わせることが相応しくないという点からも、諮問機関とするのが良いと思います。

2010年10月30日土曜日

議事録(寄附行為の書き方)

(議事録)
第十九条 議長は、理事会の開催の場所及び日時並びに議決事項及びその他の事項について、議事録を作成しなければならない。
2 議事録には、出席した理事全員が署名押印し、常にこれを事務所に備えて置かなければならない。


議事録を残すことは当然ですが、出席理事全員の署名押印を明記しています。一般的な議事録であれば、署名人が代表して署名押印することが多いのですが、あえて出席理事全員としています。これは、法令で要求されているわけではないのですが、文科省が口頭で指導しているようです。しかし、実際問題として、理事会の直後に議事録が完成しているわけではなく、後日に署名押印をもらうには、手間がかかります。郵送のやりとりを何度も繰り返すことになり、外部理事が多い場合は大変です。あらかじめ、ある程度議事録を作成しておいて、その場で完成して署名押印をもらうなどの方法も考える必要があります。

評議員会は代表として署名人のみの署名押印でも支障ありません。また、社会福祉法人などでは実印の押印を求めているようですが、学校法人の場合は、実印である必要はありません。

もちろん、欠席した人は議事録に署名押印できませんので、あらかじめ意思を表明した委任状に署名押印することで代えることになります。この委任状も議事録と共に保管しておくことになります。

2010年10月24日日曜日

業務の決定の委任(寄附行為の書き方)

(業務の決定の委任)
第十八条 法令及びこの寄附行為の規定により評議員会に付議しなければならない事項その他この法人の業務に関する重要事項以外の決定であって、あらかじめ理事会において定めたものについては、理事会において指名した理事に委任することができる。


この条文がないと、すべての意思決定を理事会で行うことになります。重要でない事項は理事長や常務理事などに委任できるようにするには、このような条文が寄附行為に必要となります。私立学校法では、7つの項目(詳細に22条で解説)に関して評議員会の意見を聞くことを求めていますが、寄附行為で議決を求めることも可能です。また、私立学校法では、学校法人の解散は理事の3分の2以上の同意が必要と定められています。解散以外でも、予算、決算、多額の借入や学校の設置、募集停止など重大な事項を理事長に委任するのは不適切とみなされる可能性が大きいと思われます。理事会を形骸化させることなく、かつ、迅速な運営ができるように、理事会で理事長などに委任する事項を検討してください。

2010年10月17日日曜日

理事会(寄附行為の書き方)

(理事会)
第十七条 この法人に理事をもって組織する理事会を置く。
2 理事会は、学校法人の業務を決し、理事の職務の執行を監督する。
3 理事会は、理事長が招集する。
4 理事長は、理事総数の三分の二以上の理事から会議に付議すべき事項を示して理事会の招集を請求された場合には、その請
求のあった日から七日以内に、これを招集しなければならない。
5 理事会を招集するには、各理事に対して、会議開催の場所及び日時並びに会議に付議すべき事項を書面により通知しなければならない。
6 前項の通知は、会議の七日前までに発しなければならない。ただし、緊急を要する場合はこの限りでない。
7 理事会に議長を置き、理事長をもって充てる。
8 理事長が第四項の規定による招集をしない場合には、招集を請求した理事全員が連名で理事会を招集することができる。この場合における理事会の議長は、出席理事の互選によって定める。
9 理事会は、この寄附行為に別段の定めがある場合を除くほか、理事総数の過半数の理事が出席しなければ、会議を開き、議決をすることができない。ただし、第十二項の規定による除斥のため過半数に達しないときは、この限りではない。
10 前項の場合において、理事会に付議される事項につき書面をもって、あらかじめ意思を表示した者は、出席者とみなす。
11 理事会の議事は、法令及びこの寄附行為に別段の定めがある場合を除くほか、出席した理事の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
12 理事会の決議について、直接の利害関係を有する理事は、その議事の議決に加わることができない。


この例では、12の項目が書かれていますが、私立学校法では、第36条に次の6項目があるだけです。

第三十六条  学校法人に理事をもつて組織する理事会を置く。
2  理事会は、学校法人の業務を決し、理事の職務の執行を監督する。
3  理事会は、理事長が招集する。理事(理事長を除く。)が、寄附行為の定めるところにより、理事会の招集を請求したときは、理事長は、理事会を招集しなければならない。
4  理事会に議長を置き、理事長をもつて充てる。
5  理事会は、理事の過半数の出席がなければ、その議事を開き、議決することができない。
6  理事会の議事は、寄附行為に別段の定めがある場合を除いて、出席した理事の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。

ここで、重要なのは5項目目の「過半数の出席がなければ議決できない」という項目です。この私立学校法の規定を受けて、寄附行為の例では、9項目目にその旨を規定しています。名前ばかりの理事で理事会を構成した場合、定足数に達しなくて議決が出来ないということになります。そこで、委任状による出席も認めるようにする必要があります。しかし、委任状は、いわゆる白紙委任状では、有効性を問われることがあります。賛否を含めて意思を表明した委任状を文書で提出してもうようにしましょう。

また、例の第5項にある、書面による通知や第6項の7日前の通知は、法律では要求されていませんので、裁量の余地はあります。しかし、議事の内容の通知がない場合、次条の委任状による出席が認められなくなる可能性もありますので、この条項は盛り込む方が良いでしょう。また、通知が直前の場合、欠席した理事から訴えられると、理事会の有効性を問われることになります。

2010年10月9日土曜日

監事の職務(寄附行為の書き方)

(監事の職務)
第十六条 監事は、次の各号に掲げる職務を行う。
一 この法人の業務を監査すること。
二 この法人の財産の状況を監査すること。
三 この法人の業務又は財産の状況について、毎会計年度、監査報告書を作成し、当該会計年度終了後二月以内に理事会及び
評議員会に提出すること。
四 第一号又は第二号の規定による監査の結果、この法人の業務又は財産に関し不正の行為又は法令若しくは寄附行為に違反する重大な事実があることを発見したときは、これを文部科学大臣(都道府県知事)に報告し、又は理事会及び評議員会に報告すること。
五 前号の報告をするために必要があるときは、理事長に対して評議員会の招集を請求すること。
六 この法人の業務又は財産の状況について、理事会に出席して意見を述べること。


この条文は、私立学校法の37条の3を受けて定められています。法令の条文そのままですので、特に変更する必要はないでしょう。

学校法人の不祥事や経営破綻が増えてきたことから、監事の役割が重要視されつつあります。そのため、理事会には毎回、監事の出席が求められます。監督官庁とすれば、日常的に学校法人を監督することが不可能なため、監事にその役割を求めているということになります。年に一度、監事報告にはんこを押すだけの監事ではなく、学校法人、理事会から独立した立場でチェックできる人を選ぶ必要があります。

大規模な学校法人の場合、常勤の監事を置いている場合もあります。その場合、監事を補佐するための職員も配置することもあります。

ただ、監事は理事長が選任するとなっている場合が多く、理事長の意向に反した意見を述べにくいという問題があります。あえて、苦言を呈してくれる監事を選任できるかが、理事長の手腕と言えるかも知れません。

2010年10月3日日曜日

理事長職務の代理等(寄附行為の書き方)

(理事長職務の代理等)
第十五条 理事長に事故があるとき、又は理事長が欠けたときは、あらかじめ理事会において定めた順位に従い、理事がその職務を代理し、又はその職務を行う。


14条で代表権を理事長に限定した場合、その理事長に万一のことがあると、たちまち代表者不在ということになります。そこで、あらかじめ、理事長に事故があった場合の代理を定めておく必要があります。寄附行為では、その代理の指名方法を定めておき、具体的な氏名は別途決めることになります。この例では、理事会で指名すると定めてありますが、理事長の選任方法に準じておくのが良いでしょう。理事長を理事会の決議で選出するのであれば、代理も同様とします。

理事長以外に代表権のある理事を置く場合は、その理事が代理となるのが自然ですが、複数いる場合は、その順序を寄附行為で定めておきましょう。

小規模校では、理事長以外に常勤の理事がいないという場合も多いと思われますが、その場合、非常勤の理事であっても万一の場合の代理をお願いすることになります。あらかじめ、了解を得て指名するようにしてください。

2010年9月30日木曜日

理事の代表権の制限(寄附行為の書き方)

(理事の代表権の制限)
第十四条 理事長〔及び常務理事〕以外の理事は、この法人の業務について、この法人を代表しない。


この条文は任意になります。以前は、理事全員が学校法人を代表し、登記もする必要がありましたが、私立学校法が改正され、代表する理事を制限することが可能となりました。代表を理事長のみとしたい場合は、このような条文を寄附行為に盛り込む必要があります。逆に言えば、このような条文がなければ、理事全員が代表とみなされますので、注意が必要です。

2010年9月28日火曜日

常務理事の職務(寄附行為の書き方)

(常務理事の職務)
第十三条 常務理事は、理事長を補佐し、この法人の業務を分掌する。


常務理事は特に必置ではありませんので、この条文は任意です。大きな学校法人でない限り、理事長が常勤していれば、他は非常勤でも問題ないでしょう。

常務理事以外に副理事長や専務理事などを置く場合は、ここでその名称と職務を明記しておきましょう。

2010年9月23日木曜日

理事長の職務(寄附行為の書き方)

(理事長の職務)
第十二条 理事長は、この法人を代表し、その業務を総理する。


この条文は私立学校法第37条の「理事長は、学校法人を代表し、その業務を総理する。」の文言そのままです。

理事長は、学校法人の代表で、そのすべての責任を持つということですが、理事長のみが代表するかどうかは、寄附行為の規定次第です。かつては、理事の全員が学校法人を代表するのが前提でしたが、私立学校法が改正されて、第37条の2項に「理事(理事長を除く。)は、寄附行為の定めるところにより、学校法人を代表し」とされたことから、理事が代表するかは、寄附行為で定めることになります。逆に言えば、理事長は代表から逃れることはできず、代表者としてすべての責任を負うことになります。

理事長は、登記することになります。また、代表権を持つ理事も登記します。登記される代表権のある理事長や理事と、代表権のない理事では、その職務と責任で大きな違いがあります。登記されていないということは、外部との関係において理事であることが明確ではないことから、学校法人を代表しての法律行為は無効となる場合があります。

なお、大学・短大・高等専門学校を設置する学校法人では、文科省が別途定める「学校法人の寄附行為及び寄附行為の変更の認可に関する審査基準」(平成十九年文部科学省告示第41号)で、「理事及び監事は、他の学校法人の理事又は監事を四以上兼ねていない者であること」および、「理事長は、他の学校法人の理事長を二以上兼ねていない者であること」と定められています。理事を依頼する際に、他の学校法人理事との兼務状況を確認する必要があります。

2010年9月15日水曜日

役員の解任及び退任(寄附行為の書き方)

(役員の解任及び退任)
第十一条 役員が次の各号の一に該当するに至ったときは、理事総数の四分の三以上出席した理事会において、理事総数の四分
の三以上の議決及び評議員会の議決により、これを解任することができる。
一 法令の規定又はこの寄附行為に著しく違反したとき。
二 心身の故障のため職務の執行に堪えないとき。
三 職務上の義務に著しく違反したとき。
四 役員たるにふさわしくない重大な非行があったとき。
2 役員は次の事由によって退任する。
一 任期の満了。
二 辞任。
三 学校教育法第九条各号に掲げる事由に該当するに至ったとき。


私立学校法では、役人の解任方法を寄附行為に盛り込むことは求めていますが、具体的な方法は定めていません。そのため、この見本通りである必要はありません。一般的に解任の方法を定めるには、その手続と基準ということになりますが、ここでは、理事の4分の3以上の出席で、かつ出席者の4分の3以上の賛成となっています。これはかなりハードルが高いと思われます。単に、理事の4分の3以上とか、3分の2以上という定め方や、評議員会の議決や意見を求める方法もあります。

解任の基準は、見本にあるような書き方で問題はありませんが、「著しく」とか「重大な」という言葉を使うと、後日、争いになった際に、解任が無効とされる可能性も出てきますので、盛り込もないという選択肢もあるかと思います。

退任の理由は、一般的にはこれらで十分でしょう。学校教育法9条とは、教員の不適格条項を定めた条文で、被後見人、禁錮以上の刑を受けた、公立教員として懲戒処分を受けた、教員免許を取り上げられた、政府を暴力で破壊することを主張する政党や団体を結成したり加入したものなどを指します。教員になれない人は役員にも相応しくないという考え方でしょうが、必ずし言い切れない場合も想定するのであれば、ここは個別に退任理由を列挙しても良いかも知れません。

2010年9月12日日曜日

役員の補充(寄附行為の書き方)

(役員の補充)
第十条 理事又は監事のうち、その定数の五分の一をこえるものが欠けたときは、一月以内に補充しなければならない。

これは私立学校法40条に規定されている内容です。理事は5名、監事は2名以上が必須ですので、最低限の理事・監事しかいない場合、一人でも欠けると1ヶ月以内に補充しなければならないことになります。このことを考慮すると、理事を6名以上にしておくという手もあります。1ヶ月の猶予はありますので、代わりの理事や監事を速やかに選任できれば済むことですが、私学の経営が厳しい昨今ですので、すぐに引受けてが見つかるかは考慮しておく必要があるかも知れません。

2010年9月9日木曜日

役員の任期(寄附行為の書き方)

(役員の任期)
第九条 役員(第七条第一項第一号に掲げる理事を除く。以下この条において同じ)の任期は、○年とする。ただし、補欠の
役員の任期は、前任者の残任期間とする。
2 役員は、再任されることができる。
3 役員は、任期満了の後でも、後任の役員が選任されるまでは、なお、その職務を行う。


この条項は一般的な内容で、特に問題はないかと思います。学長・校長の理事は、学長・校長の在任中は理事の任期が継続し、それ以外の理事は、ここで定める期間となります。私学経営研究会のアンケートによると、4年が最も多く49%、次が3年の31%、2年14%、5年3%の順になっています。

2010年9月4日土曜日

監事の選任(寄附行為の書き方)

(監事の選任)
第八条 監事は、この法人の理事、職員(学長(校長、教員その他の職員を含む。以下同じ)又は評議員以外の者であって) 。
理事会において選出した候補者のうちから、評議員会の同意を得て、理事長が選任する。


私立学校法38条の4に「監事は、評議員会の同意を得て、理事長が選任する。」となっていますので、この部分は変えることはできません。監事の役割を考えると理事会で選出したり、理事長が選任するので良いのかという議論もある得ますが、理事長が選任する部分は法律で定められていますので、これに従うしかありません。

法律も、さすがに理事や職員が監事を兼任するのは好ましくないということで、同法38条の5で禁止しています。もちろん、職員の人が監事に就任すると同時に職員を辞めれば問題ありません。これは、株式会社の監査役でもよくあることです。監事を退任したら、復職することも問題ありませんが、法の主旨からすると疑問は残るところでしょう。

2010年8月30日月曜日

理事の選任(寄附行為の書き方)

(理事の選任)
第七条 理事は、次の各号に掲げる者とする。
一学長(校長)
二評議員のうちから評議員会において選任した者◯人
三学識経験者のうち理事会において選任した者◯人
2 前項第一号及び第二号の理事は、学長(校長)又は評議員の職を退いたときは、理事の職を失うものとする。


理事は5名上が必須ですが、その内、1名はその学校法人が設置する学校の校長・学長・園長でなければならないと私立学校法38条で定められています。複数の学校を設置している場合、その中の一人以上であれば要件は満たしますが、すべての校長・学長・園長を理事にしている学校法人もあります。運営する各校の意見を理事会に反映させるための規定と思われます。この校長等から選出される理事を1号理事と言います。

また、評議員からも最低一人は理事に選任することが求められています。選任方法は寄附行為で定めることになっていますので、「評議員会で選任した者」のような書き方になっています。評議員会は理事会に対して意見を述べる機関ですが、実効性を担保するために、理事を派遣していると考えられます。

それ以外の理事は、自由に定めることができますので、卒業生や教職員から選任することを義務付けることも可能ですし、漠然と学識経験者とすることも可能です。

またこれらの選任根拠ごとの理事の数に幅を持たせることも可能です。校長等から1~2、評議員から1~3、学識経験者から2~4のような定め方もできます。この場合、理事の数を固定すると、いずれかの理事を増やした場合、他の理事を減らす必要が出てきますので、理事の定数も5~7のように幅を持たせた方が運用はしやくなります。

なお、校長等や評議員から選任された理事は、選出根拠である校長等や評議員を辞めた場合は、当然に理事も辞めることになります。創立者が校長に就任し、それを根拠に理事になっている場合、校長を他の人に任せると理事も辞めなければいけない事態になります。その場合は、3号の規定による学識経験者として選出し直す必要が出てきますので、注意が必要です。

2010年8月26日木曜日

役員(寄附行為の書き方)

第六条 この法人に、次の役員を置く。
一理事◯◯人
二監事◯人
2 理事のうち一名を理事長とし、理事総数の過半数の議決により選任する。理事長の職を解任するときも、同様とする。
3 理事(理事長を除く)のうち◯人以内を常務理事とし、理事総数の過半数の議決により選任する。常務理事の職を解任するときも、同様とする。


理事は、学校法人を設立するにあたって、基本財産を寄付した人、もしくは寄付した人からその運営を委託された人という位置づけになりますが、創立者が勝手に好きな人を任命するというわけにはいかず、その人数や構成について、私立学校法で細かく規定されています。

まず、35条で「学校法人には、役員として、理事五人以上及び監事二人以上を置かなければならない。」と定められています。その理事の中から理事長を選任することになりますが、選任方法は寄附行為で定めれば良いことになっています(同法35条の2)。また、理事・監事の選任方法は、同法38条で細かく定められていますので、寄附行為においても明記することになりますが、それは7条の「役員の選任」で解説します。

法令では◯名以上という表現ですので、規定の数以上であれば、何名でも構いません。しかし、あまり多いと理事会を開くのも大変ですので、新設校の場合は5~7名くらいが妥当と思います。しかし、設立にあたって貢献のあった人や、協力を仰ぎたい団体などが多く、必然的に理事が増える場合は止む得ないかも知れません。

また、◯~◯名という幅のある表現も可能です。幅を持たせることで、急な退任などの場合でも、すぐに補充しなくても済むというメリットもあります。

理事は学校法人を代表しますので、登記することになりますが、代表権を理事長のみに制限することも可能です。その場合は、理事長のみを登記することになります。詳しくは、次条以降に出てきますので、ここでは省略します。

また、見本では常務理事を置くことになっていますが、これは任意です。学校規模が大きい場合は、常務理事も必要でしょうが、新設の場合は、難しいと思われます。しかし、運営する学校の校長や学長のうち一人は法令により必ず理事に就任しますので、この校長・学長が学校法人にも常駐することになり、常務理事と位置づけることができます。

そうでない場合、常勤の理事が一人もいないという状態は学校法人の運営上好ましくないという指摘を受ける可能性がありますので、注意が必要です。

2010年8月22日日曜日

収益事業(寄附行為の書き方)

(収益事業)

第五条 この法人は、その収益を学校の経営に充てるため、次に掲げる収益事業を行う。

一 書籍・文房具小売業
二 各種食料品小売業


学校法人は財団法人の性質を引き継いでいますので、創立者などによって寄付された財産を運用して得た収益で事業を行うこともできます。収益を得ることで、本来の目的である学校の運営を安定的に行うことができます。そのため、学校法人が収益を得るために事業を行うことは、教育に支障のない範囲で認められています。しかし、投機的な事業や社会通念上、好ましくない事業を行うことは好ましくありません。そこで、学校が行うことが認められている事業は下記の通り、文科省で定められています。

http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/k20000327001/k20000327001.html

一 農業、林業
二 漁業
三 鉱業、採石業、砂利採取業
四 建設業
五 製造業(「武器製造業」に関するものを除く。)
六 電気・ガス・熱供給・水道業
七 情報通信業
八 運輸業、郵便業
九 卸売業、小売業
十 保険業(「保険媒介代理業」及び「保険サービス業」に関するものに限る。)
十一 不動産業(「建物売買業、土地売買業」に関するものを除く。)、物品賃貸業
十二 学術研究、専門・技術サービス業
十三 宿泊業、飲食サービス業(「料亭」、「酒場、ビヤホール」及び「バー、キャバレー、ナイトクラブ」に関するものを除く。)
十四 生活関連サービス業、娯楽業(「遊戯場」に関するものを除く。)
十五 教育、学習支援業
十六 医療、福祉
十七 複合サービス事業
十八 サービス業(他に分類されないもの)

これらの中で、実際の行う事業を寄附行為に記載することが求められています。記載にあたって、できるだけ具体的な内容を列記する必要があります。例にあるように、単に「小売業」とするのではなく、「書籍・文房具小売業」のように書きます。

ただし、学校の教育の一部として又はこれに付随して行われる事業、例えば、生徒や学生向けに売店での文房具販売や食堂などは、収益事業ではなく、付随事業または付帯教育事業として、収益事業には含まれませんので、ここに記載する必要はありません。

ちなみに、この収益事業で得た利益の法人税は22%の優遇税率が適用されます。さらに、200万円または50%のいずれか金額の多い方を限度に、学校法人へ寄付したとみなして損金算入できます。

かなり有利ですので、教育内容に関連性のある収益事業を行う方が有利と思われますが、実際に、寄附行為に収益事業の規定を盛り込んでいる学校法人は2割にも満たないようです(私学経営研究会データ)。ノウハウもなく安易に事業に手を出すのは考えものですが、もともと事業を行っている人が学校法人を設立するのであれば、従来の事業を学校法人の収益事業と位置づけるのも一手かも知れません。

なお、事業を別会社とした場合は、法人税の優遇はありませんが、学校法人への寄付は損金算入できますので、収益事業とせず、子会社という選択肢も検討に値します。

なお、この収益事業は登記事項になります。

2010年8月18日水曜日

設置する学校(寄附行為の書き方)

(設置する学校)
第四条 この法人は、前条の目的を達成するため、次に掲げる学校を設置する。
一◯◯大学大学院◯◯研究科
◯◯学部◯◯学科
◯◯学部◯◯学科
二◯◯短期大学◯◯◯学科
三◯◯高等専門学校◯◯学科◯◯学科
四◯◯高等学校全日制課程◯◯科
定時制課程◯◯科
通信制課程(広域)◯◯科
五◯◯中学校
六◯◯小学校
七◯◯幼稚園
八◯◯専修学校◯◯高等課程◯◯専門課程
九◯◯各種学校


設置する学校名を列記するだけですが、若干の注意点があります。

大学院は研究科名、大学は学部名・学科名、短大・高専は学科名まで明記します。また、高校の通信制で広域(所在地以外の都道府県でも生徒募集する)の場合はその旨も書きます。通信制高校には、この広域に対して狭域(主に本校所在地で生徒募集する)があります。また、全日制、定時制の別や科名も書くのが一般的です。

逆に言えば、これらを明記するということは、学科や課程を追加、変更する場合は、寄附行為の変更となり、認可が必要となります。

また、学校名については、特に規制はありませが、大学や高等学校と名乗れるのは、正規の大学や高校だけですので、◯◯大学、◯◯高等学校とする方が有利でしょう。伝統校の中には、◯◯高等部のような名称の高校もありますが、新設校がこのような名称にすると、高校ではないと思わる可能性があります。

2010年8月12日木曜日

目的(寄附行為の書き方)

(目的)
第三条 この法人は、教育基本法及び学校教育法に従い、学校教育を行い、◯◯な人材を育成することを目的とする。


学校法人の目的ですから、「学校教育を行う」という表現がもっともオーソドックスです。特定の宗教による教育などを行う場合は、ここに書くことになります。また、設立の理念や思いなども書くことができます。育てたい人材、教育や研究の目的などを明記するのも良いでしょう。


創設にあたって強い思いがあれば、ここは当たり障りの無い文言を並べるのではなく、具体的にその思いを言葉にすべきでしょう。ただし、あまり限定的な目的を書くと、目的外の学校を設置できませんので、ここでは、「学校教育を行う」だけとし、別途、「建学の精神建学の理念という認可の必要がない文言として残すという方法もあります。


寄附行為は変更できますが、目的が頻繁に変わるというのはどうかと思います。ここは、安易に考えずに、吟味してください。

2010年8月7日土曜日

事務所(寄附行為の書き方)

(事務所)
第二条 この法人は、事務所を◯◯県◯◯市◯◯番地に置く。

事務所は登記事項ですが、学校の所在地とは別でも構いません。そのため、学校とは別の場所にある賃貸ビルを事務所にすることもできますし、自宅でも構わないということになります。しかし、税法上は事務所の所在地を管轄する税務署へ申告することになりますし、その他にも所在地で決まる事項がいろいろあります。学校法人と学校の所在地が違うと、手間が増えることが考えらますので、学校が1つの間は、揃えておく方が良いと思います。もちろん、学校内に学校法人の事務局を置かずに、別の場所とする場合は、実態に合わせることになります。

株式会社の本店所在地は、最小行政区画で登記することもできますので、学校法人も可能かも知れませんが、認可申請時に理由を聞かれても、合理的な説明は難しいでしょうから、正確に◯番◯号までとするのが無難と思います。

2010年8月4日水曜日

名称(寄附行為の書き方)

(名称)
第一条 この法人は、学校法人◯◯学園と称する。

学校法人は法務局へ登記しますので、同一所在地でない限り、同じ名称の学校法人がすでにあっても問題はありません。また、法人名は学校名と関係ありませんので、基本的に自由な名称で構いません。しかし、法人名を広告に使う場合、同一の名称が商標登録されている可能性があります。また、登録されていなくても、広く周知されている名称の場合など、不正競争防止法によって利用できないような名称にすると、広告上、不利になります。また、目的外の名称も使えません。例えば、学校法人〇〇銀行とか、学校法人◯◯証券なども、認可されないと思われます。

◯◯株式会社のように学校法人を後ろの付けることを禁止されていないと思いますが、そのような名称の学校法人を見かけたことはありません。一般社団法人及び一般財団法人に関する法律でも、名称に一般社団または一般財団法人を含めることを求めていますが、位置は指定していません。私立学校法では、特に何も定めていませんので、法律上は自由ということなりますが、見本にしたがって、学校法人◯◯とするのが良いと思います。

社団法人私学経営研究会の調査によると、学校人名で一番多いのは◯◯学園で約65%、次が学校名と法人名が同じパターンで16%、次が◯◯学院で15%となっていますが、◯◯社、〇〇塾、という例もあるようです。

学校名と違って学校法人名は、あまり表に出ませんが、名は体を表すことになります。また、広報上も重要です。できれば、事前に商標の登録が可能かも確認しておいた方が良いでしょう。普通名詞や地名は商標登録できませんので、組み合わせるなどしてユニークな名前にする必要があります。

登録済みの商標についてはこちらサイトで検索できます。

また、HPを開設する場合の、ドメインについて事前に調べておきましょう。学校と別のドメインにすることもできますし、同一でも構いませんが、使いたいドメインが空いているかはチェックしておく必要があります。大学、専門学校は〇〇.ac.jpで、小中高は〇〇.ed.jpが一般的です。これらのドメインは、正式に認可された学校にしか認められません。

2010年8月1日日曜日

寄附行為の見本



ゼロから寄附行為を作るのは大変なので、ちゃんと文科省が見本を用意しています。逆に言えば、多くの学校がこの見本に沿って寄附行為を制定していることになり、見本通りなら、認可も難しくないということになります。

しかし、設立後の運営を考えると、自分でしっかり検討すべき項目もあります。次回からは、この寄附行為を1条ずつ検討していきます。


http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shinkou/07021403/001/001/001/001/003.pdf


学校法人◯◯学園寄附行為

第一章 総則
(名称)
第一条 この法人は、学校法人◯◯学園と称する。
(事務所)
第二条 この法人は、事務所を◯◯県◯◯市◯◯番地に置く。

第二章 目的及び事業
(目的)
第三条 この法人は、教育基本法及び学校教育法に従い、学校教育を行い、◯◯な人材を育成することを目的とする。
(設置する学校)
第四条 この法人は、前条の目的を達成するため、次に掲げる学校を設置する。
一◯◯大学大学院◯◯研究科
◯◯学部◯◯学科
◯◯学部◯◯学科
二◯◯短期大学◯◯◯学科
三◯◯高等専門学校◯◯学科◯◯学科
四◯◯高等学校全日制課程◯◯科
定時制課程◯◯科
通信制課程(広域)◯◯科
五◯◯中学校
六◯◯小学校
七◯◯幼稚園
八◯◯専修学校◯◯高等課程◯◯専門課程
九◯◯各種学校
(収益事業)
第五条 この法人は、その収益を学校の経営に充てるため、次に掲げる収益事業を行う。
一書籍・文房具小売業
二各種食料品小売業

第三章 役員及び理事会
(役員)
第六条 この法人に、次の役員を置く。
一理事◯◯人
二監事◯人
2 理事のうち一名を理事長とし、理事総数の過半数の議決により選任する。理事長の職を解任するときも、同様とする。
3 理事(理事長を除く)のうち◯人以内を常務理事とし、理事総数の過半数の議決により選任する。常務理事の職を解任するときも、同様とする。
(理事の選任)
第七条 理事は、次の各号に掲げる者とする。
一学長(校長)
二評議員のうちから評議員会において選任した者◯人
三学識経験者のうち理事会において選任した者◯人
2 前項第一号及び第二号の理事は、学長(校長)又は評議員の職を退いたときは、理事の職を失うものとする。
(監事の選任)
第八条 監事は、この法人の理事、職員(学長(校長、教員その他の職員を含む。以下同じ)又は評議員以外の者であって) 。
理事会において選出した候補者のうちから、評議員会の同意を得て、理事長が選任する。
(役員の任期)
第九条 役員(第七条第一項第一号に掲げる理事を除く。以下この条において同じ)の任期は、○年とする。ただし、補欠の。
役員の任期は、前任者の残任期間とする。
2 役員は、再任されることができる。
3 役員は、任期満了の後でも、後任の役員が選任されるまでは、なお、その職務を行う。
(役員の補充)
第十条 理事又は監事のうち、その定数の五分の一をこえるものが欠けたときは、一月以内に補充しなければならない。
(役員の解任及び退任)
第十一条 役員が次の各号の一に該当するに至ったときは、理事総数の四分の三以上出席した理事会において、理事総数の四分
の三以上の議決及び評議員会の議決により、これを解任することができる。
一法令の規定又はこの寄附行為に著しく違反したとき。
二心身の故障のため職務の執行に堪えないとき。
三職務上の義務に著しく違反したとき。
四役員たるにふさわしくない重大な非行があったとき。
2 役員は次の事由によって退任する。
一任期の満了。
二辞任。
三学校教育法第九条各号に掲げる事由に該当するに至ったとき。
(理事長の職務)
第十二条 理事長は、この法人を代表し、その業務を総理する。
(常務理事の職務)
第十三条 常務理事は、理事長を補佐し、この法人の業務を分掌する。
(理事の代表権の制限)
第十四条 理事長〔及び常務理事〕以外の理事は、この法人の業務について、この法人を代表しない。
(理事長職務の代理等)
第十五条 理事長に事故があるとき、又は理事長が欠けたときは、あらかじめ理事会において定めた順位に従い、理事がその職務を代理し、又はその職務を行う。
(監事の職務)
第十六条 監事は、次の各号に掲げる職務を行う。
一この法人の業務を監査すること。
二この法人の財産の状況を監査すること。
三この法人の業務又は財産の状況について、毎会計年度、監査報告書を作成し、当該会計年度終了後二月以内に理事会及び
評議員会に提出すること。
四第一号又は第二号の規定による監査の結果、この法人の業務又は財産に関し不正の行為又は法令若しくは寄附行為に違反する重大な事実があることを発見したときは、これを文部科学大臣(都道府県知事)に報告し、又は理事会及び評議員会に報告すること。
五前号の報告をするために必要があるときは、理事長に対して評議員会の招集を請求すること。
六この法人の業務又は財産の状況について、理事会に出席して意見を述べること。
(理事会)
第十七条 この法人に理事をもって組織する理事会を置く。
2 理事会は、学校法人の業務を決し、理事の職務の執行を監督する。
3 理事会は、理事長が招集する。
4 理事長は、理事総数の三分の二以上の理事から会議に付議すべき事項を示して理事会の招集を請求された場合には、その請
求のあった日から七日以内に、これを招集しなければならない。
5 理事会を招集するには、各理事に対して、会議開催の場所及び日時並びに会議に付議すべき事項を書面により通知しなければならない。
6 前項の通知は、会議の七日前までに発しなければならない。ただし、緊急を要する場合はこの限りでない。
7 理事会に議長を置き、理事長をもって充てる。
8 理事長が第四項の規定による招集をしない場合には、招集を請求した理事全員が連名で理事会を招集することができる。この場合における理事会の議長は、出席理事の互選によって定める。
9 理事会は、この寄附行為に別段の定めがある場合を除くほか、理事総数の過半数の理事が出席しなければ、会議を開き、議決をすることができない。ただし、第十二項の規定による除斥のため過半数に達しないときは、この限りではない。
10 前項の場合において、理事会に付議される事項につき書面をもって、あらかじめ意思を表示した者は、出席者とみなす。
11 理事会の議事は、法令及びこの寄附行為に別段の定めがある場合を除くほか、出席した理事の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
12 理事会の決議について、直接の利害関係を有する理事は、その議事の議決に加わることができない。
(業務の決定の委任)
第十八条 法令及びこの寄附行為の規定により評議員会に付議しなければならない事項その他この法人の業務に関する重要事項以外の決定であって、あらかじめ理事会において定めたものについては、理事会において指名した理事に委任することができる。
(議事録)
第十九条 議長は、理事会の開催の場所及び日時並びに議決事項及びその他の事項について、議事録を作成しなければならない。
2 議事録には、出席した理事全員が署名押印し、常にこれを事務所に備えて置かなければならない。

第四章 評議員会及び評議員
(評議員会)
第二十条 この法人に、評議員会を置く。
2 評議員会は、◯◯人の評議員をもって組織する。
3 評議員会は、理事長が招集する。
4 理事長は、評議員総数の三分の一以上の評議員から会議に付議すべき事項を示して評議員会の招集を請求された場合には、その請求のあった日から二十日以内に、これを招集しなければならない。
5 評議員会を招集するには、各評議員に対して、会議開催の場所及び日時並びに会議に付議すべき事項を、書面により通知しなければならない。
6 前項の通知は、会議の七日前までに発しなければならない。ただし、緊急を要する場合は、この限りでない。
7 評議員会に議長を置き、議長は、評議員のうちから評議員会において選任する。
8 評議員会は、評議員総数の過半数の出席がなければ、その会議を開き、議決をすることができない。
9 前項の場合において、評議員会に付議される事項につき書面をもって、あらかじめ意思を表示した者は、出席者とみなす。
10 評議員会の議事は、出席した評議員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
11 議長は、評議員として議決に加わることができない。
(議事録)
第二十一条 第十九条の規定は、評議員会の議事録について準用する。この場合において、同条第二項中「出席した理事全員」とあるのは「議長及び出席した評議員のうちから互選された評議員二人以上」と読み替えるものとする。
(諮問事項)
第二十二条 次の各号に掲げる事項については、理事長において、あらかじめ評議員会の意見を聞かなければならない。
一予算、借入金(当該会計年度内の収入をもって償還する一時の借入金を除く)及び基本財産の処分並びに運用財産中の不動産及び積立金の処分。
二事業計画
三予算外の新たな義務の負担又は権利の放棄
四寄附行為の変更
五合併
六目的たる事業の成功の不能による解散
〔七収益事業に関する重要事項〕
八寄附金品の募集に関する事項
九その他この法人の業務に関する重要事項で理事会において必要と認めるもの
(評議員会の意見具申等)
第二十三条 評議員会は、この法人の業務若しくは財産の状況又は役員の業務執行の状況について、役員に対して意見を述べ、若しくはその諮問に答え、又は役員から報告を徴することができる。
(評議員の選任)
第二十四条 評議員は、次の各号に掲げる者とする。
一この法人の職員で理事会において推せんされた者のうちから、評議員会において選任した者○○人
二この法人の設置する学校を卒業した者で年齢二十五年以上のもののうちから、理事会において選任した者○○人
三学識経験者のうちから、理事会において選任した者◯◯人
2 前項第一号に規定する評議員は、この法人の職員の地位を退いたときは評議員の職を失うものとする。
(任期)
第二十五条 評議員の任期は、◯年とする。ただし、補欠の評議員の任期は、前任者の残任期間とする。
2 評議員は、再任されることができる。
(評議員の解任及び退任)
第二十六条 評議員が次の各号の一に該当するに至ったときは、評議員総数の三分の二以上の議決により、これを解任することができる。
一心身の故障のため職務の執行に堪えないとき。
二評議員たるにふさわしくない重大な非行があったとき。
2 評議員は次の事由によって退任する。
一任期の満了。
二辞任。

第5章 資産及び会計
(資産)
第二十七条 この法人の資産は、財産目録記載のとおりとする。
(資産の区分)
第二十八条 この法人の資産は、これを分けて基本財産、運用財産〔及び収益事業用財産〕とする。
2 基本財産は、この法人の設置する学校に必要な施設及び設備又はこれらに要する資金とし、財産目録中基本財産の部に記載する財産及び将来基本財産に編入された財産とする。
3 運用財産は、この法人の設置する学校の経営に必要な財産とし、財産目録中運用財産の部に記載する財産及び将来運用財産に編入された財産とする。
4 収益事業用財産は、この法人の収益を目的とする事業に必要な財産とし、財産目録中収益事業用財産の部に記載する財産及び将来収益事業用財産に編入された財産とする。
5 寄附金品については、寄附者の指定がある場合には、その指定に従って基本財産、運用財産〔又は収益事業用財産〕に編入する。
(基本財産の処分の制限)
第二十九条 基本財産は、これを処分してはならない。ただし、この法人の事業の遂行上やむを得ない理由があるときは、理事会において理事総数の三分の二以上の議決を得て、その一部に限り処分することができる。
(積立金の保管)
第三十条 基本財産及び運用財産中の積立金は、確実な有価証券を購入し、又は確実な信託銀行に信託し、又は確実な銀行に定期預金とし、若しくは定額郵便貯金として理事長が保管する。
(経費の支弁)
第三十一条 この法人の設置する学校の経営に要する費用は、基本財産並びに運用財産中の不動産及び積立金から生ずる果実、授業料収入、入学金収入、検定料収入その他の運用財産をもって支弁する。
(会計)
第三十二条 この法人の会計は、学校法人会計基準により行う。
2 この法人の会計は、学校の経営に関する会計(以下「学校会計」という)及び収益事業に関する会計(以下「収益。事業会計」という)に区分するものとする。。
(予算及び事業計画)
第三十三条 この法人の予算及び事業計画は、毎会計年度開始前に、理事長が編成し、理事会において出席した理事の三分の二以上の議決を得なければならない。これに重要な変更を加えようとするときも、同様とする。
(予算外の新たな義務の負担又は権利の放棄)
第三十四条 予算をもって定めるものを除くほか、新たに義務の負担をし、又は権利の放棄をしようとするときは、理事会において出席した理事の三分の二以上の議決がなければならない。借入金(当該会計年度内の収入をもって償還する一時の借入金を除く)についても、同様とする。
(決算及び実績の報告)
第三十五条 この法人の決算は、毎会計年度終了後二月以内に作成し、監事の意見を求めるものとする。
2 理事長は、毎会計年度終了後二月以内に、決算及び事業の実績を評議員会に報告し、その意見を求めなければならない。
〔3 収益事業会計の決算上生じた利益金は、その一部又は全部を学校会計に繰り入れなければならない〕。
(財産目録等の備付け及び閲覧)
第三十六条 この法人は、毎会計年度終了後二月以内に財産目録、貸借対照表、収支計算書及び事業報告書を作成しなければならない。
2 この法人は、前項の書類及び第十六条第三号の監査報告書を各事務所に備えて置き、この法人の設置する私立学校に在学する者その他の利害関係人から請求があった場合には、正当な理由がある場合を除いて、これを閲覧に供しなければならない。
(資産総額の変更登記)
第三十七条 この法人の資産総額の変更は、毎会計年度末の現在により、会計年度終了後二月以内に登記しなければならない。
(会計年度)
第三十八条 この法人の会計年度は、四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終るものとする。

第六章 解散及び合併
(解散)
第三十九条 この法人は、次の各号に掲げる事由によって解散する。
一理事会における理事総数の三分の二以上の議決及び評議員会の議決
二この法人の目的たる事業の成功の不能となった場合で、理事会における出席した理事の三分の二以上の議決
三合併
四破産
五文部科学大臣(都道府県知事)の解散命令
2 前項第一号に掲げる事由による解散にあっては文部科学大臣の認可を、同項第二号に掲げる事由による解散にあっては文部科学大臣の認定を受けなければならない。
(残余財産の帰属者)
第四十条 この法人が解散した場合(合併又は破産によって解散した場合を除く)における残余財産は、解散のときにおける理事会において出席した理事の三分の二以上の議決により選定した学校法人又は教育の事業を行う公益法人に帰属する。
(合併)
第四十一条 この法人が合併しようとするときは、理事会において理事総数の三分の二以上の議決を得て文部科学大臣の認可を受けなければならない。

第七章 寄附行為の変更
(寄附行為の変更)
第四十二条 この寄附行為を変更しようとするときは、理事会において出席した理事の三分の二以上の議決を得て、文部科学大臣の認可を受けなければならない。
2 私立学校法施行規則に定める届出事項については、前項の規定にかかわらず、理事会において出席した理事の三分の二以上の議決を得て、文部科学大臣に届け出なければならない。

第八章 補則
(書類及び帳簿の備付)
第四十三条 この法人は、第三十六条第二項の書類のほか、次の各号に掲げる書類及び帳簿を、常に各事務所に備えて置かなければならない。
一寄附行為
二役員及び評議員の名簿及び履歴書
三収入及び支出に関する帳簿及び証ひよう書類
四その他必要な書類及び帳簿
(公告の方法)
第四十四条 この法人の公告は、○○学園の掲示場に掲示して行う。
(施行細則)
第四十五条 この寄附行為の施行についての細則その他この法人及びこの法人の設置する学校の管理及び運営に関し必要な事項は、理事会が定める。

附則
1 この寄附行為は、文部科学大臣の認可の日(平成○年○月○日)から施行する。
2 この法人の設立当初の役員は、次のとおりとする。
理事(理事長)◯◯◯◯
理事◯◯◯◯
理事◯◯◯◯
理事◯◯◯◯
理事◯◯◯◯
監事◯◯◯◯
監事◯◯◯◯
3 平成◯年◯月◯日までの間は、第二十四条第一項第二号中「学校を卒業した者」とあるのは「
・・・・・・」と読み替えるものとする。

2010年7月29日木曜日

寄附行為とは

どんな種類の学校があるかを概観しましたので、作りたい学校がおぼろげながら見えてきたでしょうか。その学校を作るためには、学校法人を作ることが前提になります。もちろんん、特区で株式会社立というのもありますが、当初の資金が少なくても済むという以外に、有利な点はなく、生徒さんにとっては、何もメリットがありませんので、ここでは学校法人を前提にします。

そこで、ここからは、学校法人の作り方を詳細に見ていきます。学校法人で最も重要な取り決めが寄附行為と言わるものです。株式会社で言う定款にあたります。学校法人の認可はこの寄附行為が適切かどうかの審査になりますので、認可されるかどうかは、この寄附行為次第ということになります。この寄附行為の認可と学校の認可は、別々に審査されます。

寄附行為は、学校法人の認可後に変更も可能ですが、後から変えればいいと安易に考えずに、じっくり時間をかけて検討されることをお勧めします。

では、次回から、具体的な寄附行為の作り方を解説します。

専修学校とは

専修学校といわれてもピンと来ないかもしれませんが、専門学校を含めた学校種になります。専修学校には、中卒者対象の高等課程(3年以上)、高卒者対象の専門課程(2年以上)、それ以外の一般課程(1年以上)があり、高等課程を置く専修学校を高等専修学校、専門課程を置く専修学校を専門学校と言います。そのため、専門学校は法律で定義された用語ということになるのですが、いわゆる専門的なことが学べるスクールも専門学校と誤用する新聞も散見され、正しく認識されていないのが現状です。

この専修学校は、学校教育法の1条にある学校の定義には入っていなく、124条に登場します。そのため、法律的には、学校にもかかわらず高校や大学とは違う扱いを受けるという状態が続いています。専修学校関係者は、なんとか1条で定義してもらおうといろいろ活動しているようです。

学校教育法の1条で定義されていないこと、認可が都道府県知事であること、補助金がほとんど出ないことなどから、新設の認可は受けやすい学校ということになります。

設置基準は、都道府県ごとに若干違います。また、課程によりますが、1クラス40名以下で、1クラスにつき教員が1名で最低は3名、校舎は一人につき3平米程度が目安となります。たとえば、服飾系の専門課程(2年制)で定員が1学年40名(総定員は80名)であれば、教員は3名、校舎は260平米となっています。運動場はなくても大丈夫ですので、比較的少ない資金で作ることができます。

2010年7月25日日曜日

高等専門学校とは

略称を高専と言うことが多い高等専門学校ですが、高等専修学校や専門学校とは、まったく違う学校になります。また、全64校中、私立が3校しかないため高専は国公立しかないと思っている人も多いのではないでしょうか。

しかし、高専は高校と短大を合わせたような5年制(商船学科は5年半)の学校です。そのため、先生も大学・短大のように教授、准教授のように呼びます(ただし、トップは学長ではなく校長)。卒業すれば、短大卒業と同様に準学士となり、大学編入資格があります。また、3年を終えた段階で大学の受験資格もあります。もちろん、学校法人でも設置基準をクリアすれば作ることはできます。専門と名前が付いている通り、専門的な職業教育が目的となります。

その設置基準は、やはり高校と短大をミックスしたような内容になっていて、1クラス編成(つまり5学級)の場合、校舎は1653平米以上で校地は一人10平米、教員は一般科目担当として最低10名で、加えて専門科目担当の教員が必要となります。運動場も必要ですので、都会での新設のハードルは高いと言えます。モノづくり日本を支える学校ですので、地方で寮を設置して、じっくり5年かけて技術を伝えるような形態が考えられるかも知れません。

2010年7月21日水曜日

大学とは

大学が一番、変化しています。そのため、十数年以上前の経験はあまり役に立たないかも知れない。例えば、専門職大学院、複数の大学による共同学科や共同設置大学院という制度ができたり、インターネットによる授業が認められたり、卒業に必要な124単位すべてを大学に通うことなく修得できる通信制大学が認められたり、助教授が准教授に呼び方が変わったりなどです。

その中でも一番大きな変化は、事前審査から事後審査という大きな方向転換がされたことでしょう。以前は、事前に厳しい審査をして新設を抑制していましたが、いまは、新設時の審査は緩くして、その代わりに、7年ごとに第3者の評価機関に点検してもらおうというものです。

その間に、設置基準も緩和される方向で改正されています。設置基準は、学部ごとに定められていますので、ここでは、一例だけ書きます。例えば、文学・教育・保育系であれば、教員は、定員320~600人の場合10名、校舎は定員200名までは2644平米以上、校地は学生一人あたり10平米となっています。しかし、実際には、細かな規定がいろいろあり、かなり複雑になっています。

また、幼稚園・小中高のように教員免許制度がないため、誰も大学教員になれるのですが、大学設置のときだけは、文科省が教員の審査をすることになります。他の大学で教授をしている人でも、科目ごとに審査するために、この審査で落ちることもあります。大学の新設では、この教員審査が一番のハードルと言えます。

大学については、小中高とは違って、歴史的にも特別な位置づけとなるため、その制度や設置の手続きについては、複雑なものとなっています。詳しくは、本編で書きます。

2010年7月17日土曜日

特別支援学校とは

特別支援学校とは、かつての養護学校、聾学校や盲学校などと言われていた学校の総称で、平成19年から、特別支援学校という名称に統一された。学校教育法では、「視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者、肢体不自由者又は病弱者(身体虚弱者を含む。以下同じ。)に対して、幼稚園、小学校、中学校又は高等学校に準ずる教育を施すとともに、障害による学習上又は生活上の困難を克服し自立を図るために必要な知識技能を授けることを目的とする。」となっています。

全部で1030校あり、ほとんどが公立ですが、私立も14校あります(平成21年度学校基本調査)。

設置基準は、幼稚園、小学校、中学校、高校のそれに準じます。基本的に小学校と中学校は同時に設けることになっているほか、寄宿舎の設置も求められています。

特別支援学校を単独で設置した場合、経営的には難しいものがありますので、大学の付属校や、小学校や中学校を設けている学校が併設するなどの方法を検討する必要があります。

2010年7月12日月曜日

中等教育学校とは

中等教育学校と聞いてすぐに理解できる方は、中学の受験生を抱えた保護者の方か、教育関係者くらいかも知れません。中等教育学校という制度ができたのは平成10年で、まだ42校(平成21年度学校基本調査)しかありません。

中等教育学校とは、中学と高校を一緒にした6年制の学校です。しかし、いわゆる中高一貫校とは違い、1つの学校です。とはいえ、前半の3年が中学相当、後半の3年が高校相当と見なされます。また、中学と高校が同一の設置者であれば、中等教育学校のように一貫して教育することも認められていますので、中高一貫校と中等教育学校の違いは少ないと言えます。

大きな違いは、公立の場合、中学は義務教育のため学力による選抜はできません。そのため、中等教育学校でも学力試験は課されません。そのまま入試なしで高校に入れるのと同じ効果が得られます。ただし、人気校は、調査書・面接・抽選などでの選抜は行われます。また、中高一貫校では、高校進学時に入学金が必要な学校もありますが、中等教育学校は1つの学校なので、必要ありません。

設置基準は、中学と高校のそれを準用することになります。

そもそも、中等教育学校は、私立学校が中高一貫教育で人気を得たため、公立も同様の学校を作れるようにと設けられた制度です。義務教育が中学校までですので、そういう意味では無理のある制度ですが、6年間を一貫したカリキュラムで教育できるというメリットもあります。しかし、認知度という面で不利ですので、いきなり新設で中等教育学校を設けるのは、生徒募集上、ハードルが高いかも知れません。

2010年7月11日日曜日

高等学校とは

高校で、中学と大きく違うのは、全日制、定時制、通信制という課程があることです。定時制とは学校教育法の4条で「夜間その他特別の時間又は時期において授業を行う課程」とされ、通信制は「通信による教育を行う課程」と定義されています。

かつて、定時制は夜間に行われていましたが、今は、多部制といって、昼間や夕方に全日制より短い時間割で行うケースもあります。また、通信制は通信教育ですが、面接指導(スクーリング)として、一定時間の教員による直接指導が必須となっています。いずれも、いまは3年で卒業できます。

また、中学と違って単位制という方法が認められています。単位制に対する言葉は、学年制です。学年制は、1年分の学習を全部終えると、進学が認められるのに対して、単位制は、卒業に必要な単位(現在は74単位)を3年以上かけて取得すれば卒業できる仕組みです。

さらに、専門学科というのがあります。普通科に対して、農業科や商業科と言った学科で、14例が明示されていますが、その他も認められています。

全日制と定時制の設置基準は、校舎においては定員120名以下は1200平米、121~480は1200+6×(収容定員―120)、481~は3360+4×(収容定員―480)、運動場は定員に関わらず8400平米以上ですが、体育館などで代替が可能となっています。教員は概ね1クラスに一人となっています。

通信制は、校舎は定員に関係なく1200平米以上で、運動場は特に必要ありません。教員は5名以上となっています。

2010年7月7日水曜日

中学校とは

中学校の設置基準は、小学校のそれと基本的に同じですが、校舎、運動場の面積が広くなります。具体的には、校舎は、40人以下が600平米、41人~480人の場合は、600+6×(生徒数-40)、481人以上は、3240+4×(生徒数-480)で計算します。運動場は、240人以下が3600平米、241人~720人が、3600+10×(生徒数-240)、721人以上は8400平米となっています。

具体的に計算してみると、1クラス40名で3学年ですので、120人が最低限となり、校舎は600+6×(120-40)=1080平米、運動場は3600平米は必要となります。

余談になりますが、中学校には通信教育に関する規定も設けられています。しかし、入学できるのは、「昭和二十一年三月三十一日以前の尋常小学校卒業者及び国民学校初等科修了者に限る。」となっているため、実質的に通信制の中学を作ることはできません。しかし、なんとか中学で不登校などの生徒さんのために通信制の中学が作れないかと、特区で申請したこともありましたが、あっけなく却下されました。

2010年7月1日木曜日

小学校とは

次は小学校です。実は、私が受ける相談で、一番多いのが小学校を作りたいというものです。おそらく、お子様が小学校に通われていて、相当、不満があるのfでしょうね。幼稚園は、選択の余地がありますし、保育所に預けたり、通わせないという方法もありますが、小学校は避けて通れません。しかも、6年間もあります。

ところが、この小学校を作るというはなかなか大変です。その証拠に、学校数を見れば分かります。21年度の文科省の学校基本調査によると、公立21974校、国立74校に対して、私立は210校しかありません。この私立も多くは、大学や中高の系列校ですので、小学校のみの私立学校というのは、極めて例外的な存在と言えるでしょう。

多くの親が現状の小学校を不満に思って、自分で学校を作ろうとまで考えているにも関わらず、私立小学校が少ない理由は簡単です。ライバルの公立の授業料が無料だからです。同じ理由で中学も少ないですが、中学は高校との一貫校が多いですので、小学校は公立で、中学から私立というのが一般的だからです。

この小学校を作る場合の基準は、「小学校設置基準」という文部科学省令に定められています。この省令ですが、制定されたのが平成14年と最近です。それまでは、私立の小学校が新設されるということを想定していなかったのか、その都度、裁量で判断していたようです。この基準が制定されたことで、小学校が作り易くなりました。

簡単に基準を見ると、次のとおりです。

・1クラスは40人以下
・先生は1クラスにつき一人
・校舎は、生徒40人以下は500平米、41人~480人は、500平米プラス40人を超えた人数につき5平米、481人以上は、2700平米プラス480人を超えた人数につき3平米
・運動場は240人以下は2400平米、241人~720人は、2400平米プラス40人を超えた人数につき10平米、721人以上は、7200平米。

小学校は6学年ありますので、原則として240人が最小人数です。この場合、校舎は500+(240-40)×5=1500平米。運動場は2400平米以上が最低基準ということになります。

2400平米の運動場以外に、1500平米の校舎を建てることができる土地が必要です。3階建が建築可能としても、約3000平米の土地が必要ということになります。土地があれば、どこで小学校を作れるかと言えば、別の規制もあります。これについては、あとで詳しく書きますが、とりあえず、どれくらいの土地が必要かは理解しておいてください。

2010年6月30日水曜日

幼稚園とは

学校法人についてざっと説明しましたので、これからは、各学校について簡単に説明します。まず、学校教育法で定められた学校を順に見ていきます。最初は、幼稚園です。

基本的なことですが、幼稚園は文科省所轄で、保育所は厚労省所轄になります。同じ年の子どもを預っているいるのですが、両者はまったく別物ということになります。そのため、幼稚園は原則として学校法人が、保育所は社会福祉法人が設置することになります。

幼稚園は、学校教育法でその目的を「義務教育及びその後の教育の基礎を培うものとして、幼児を保育し、幼児の健やかな成長のために適当な環境を与えて、その心身の発達を助長すること。」と定めています。

この幼稚園を作るには、「学校教育法」という法律や「学校教育法施行規則」「幼稚園設置基準」という文部省令に合わせる必要があります。さらに、都道府県ごとに細かな規定を定めている場合は、それにも適合させることになります。

詳細は、別途書きますが、簡単に必要な基準を並べると次のようになります。

・1クラスは35名以下
・先生は、校長と各学年に一人以上の専任の教諭
・建物は2階建て以下で、1学級だと180平米以上、2学級で320平米以上、3学級以上は1学級につき100平米を加算
・運動場は、2学級だと360平米以上、3学級で400平米以上、4学級以上は1学級につき80平米を加算

これら以外に、必須の施設や教具等も決められていますが、概ね上記の基準を満たせば、あとはなんとかなるでしょう。

2010年6月26日土曜日

学校法人の基本的な性質5

これまで何度か出てきた「寄付行為」について、少し書いておきます。寄付行為と書いていますが、私立学校法では「寄附行為」という漢字を使っています。この法律の30条には、次のようにあります。

学校法人を設立しようとする者は、その設立を目的とする寄附行為をもつて少なくとも次に掲げる事項を定め、文部科学省令で定める手続に従い、当該寄附行為について所轄庁の認可を申請しなければならない。


つまり、学校法人を作るということは、寄付行為という文書を認可してもらうということになります。会社の定款にあたる部分ですが、この寄付行為に書いてある通りに、創立者から寄付してもらった財産を管理、運用して、学校を運営することになります。学校で言う憲法のようなものです。


この寄付行為は、定款と同じように、法務局に登記する際に、添付します。設立時だけでなく、登記内容の変更の際にも添付します。


また、寄付行為を変更することは可能ですが、所轄庁の認可がなければ有効になりません。変更の手続も寄付行為の中で定めることになります。


この寄附行為は、多くの学校法人がHPで公開していますので、それらを参考にすれば、作成することは、難しくありません。しかし、いい加減に作ると後から大変なことになる場合もありますので、慎重に検討する必要があります。詳しくは、今後、解説していきます。

2010年6月23日水曜日

学校法人の基本的な性質4

これから学校を作ろうという方は、基本的に学校法人を設立し、その理事長に就任することになると思います。もちろん、信頼できる人に理事長をお願するという方法もありますが、理事長や理事会を理解せずに、学校法人の運営はできませんので、もう少し、詳しく解説します。

理事長ないし理事会は、学校法人の運営方針を決めるのが仕事ですので、毎日仕事があるわけではありません。そこで、非常勤の理事長や理事というケースもあり得ます。すべての理事が非常勤という学校法人もあります。

理事が非常勤ばかりだと、どうやって経営するんだと疑問になりますが、「学校法人の基本的な性質3 」で書いたように、学長・校長のうち一人は必ず理事になりますので、一人は必ず法人内にいるということになります。この場合でも、この学長・校長は、普段は学長・校長の仕事をしているのであって、理事としての仕事は、その合間にしているに過ぎません。

常勤の理事や理事長という場合、理事・理事長の仕事に専念し、学校法人に常駐できる状態の人を言います。そういう理事を常務理事と表現している場合もありますが、常務理事という名称は、その法人固有の言い方です。

専任の常勤理事を置いている方が例外で、多くの学校法人では、学長・校長との兼務であったり、事務局長や職員、教員を理事にしているのが実情です。このような教職員兼任の理事は、教職員としての給与を貰っているに過ぎず、理事としては無給の場合が大半です。つまり、普段は教職員としての仕事に専念し、理事会のときだけ理事としての仕事をしていることになります。

このように、常勤の理事が教職員の兼務で、それ以外の理事が非常勤というのが中小の学校法人の実態でしょう。もちろん、大きな大学法人になれば、常勤の理事を置いていますが、これから学校法人を作ろうという場合には、常勤の理事に給与を支払う余裕はないと考えるべきでしょう。

法的には、このような教職員の理事と非常勤理事でも問題ありません。しかし、学校法人の理事は経営者です。優秀な教職員が必ずしも経営者として優れているとは限りませんし、24時間365日、経営のことを考えている人がいなくて、学校法人の運営が適切に行えるかは別問題です。もちろん、学校法人が設置する学校が1つしかない場合には、学長・校長が理事長を兼ねて、すべてを見るということもあり得ます。その方が人件費が節約できます。幼稚園や専門学校などで小規模な法人に多いパターンでしょう。

ただし、学校法人を代表するのは原則として理事長のみですので、理事長は常勤が望ましいということになります。理事長が名誉職的に非常勤という学校法人も見受けられますが、理事長の権限を強化するために改正された私立学校法の主旨から考えても適切とは言えません。

理事会のことを例えて、プロ野球のフロント、学長・校長を監督と表現した人がいました。また、学長・校長が社長であれば、理事会は株主とも言えます。しかし、大きく違うのは、株主であれば、その責任は出資額に限定されますが、理事は学校法人を代表しますので、学校法人が第3者に与えた損害は、それを賠償する責任を負います。つまり、無限責任です。寄附行為で代表者を理事長に限定することは可能ですが、善意の第3者に対抗できるとは限らず、理事も無限責任を問われる可能性はあります。少なくとも、理事長は無限責任であるということは、理解しておく必要があります。

2010年6月20日日曜日

学校法人の基本的な性質3

学校法人の運営は理事が担うことになりますので、この理事の役割を理解することが、学校法人の理解に役立ちます。

まず、基本的な事項です。学校法人の理事は5名以上で、そのうち一人が理事長になります。その理事で理事会を構成し、理事会は「学校法人の業務を決し、理事の職務の執行を監督する」(私立学校法36条2)ことになります。平たく言えば、方針を決定、その方針通りに運営されているかを監督することです。そして理事長は「学校法人を代表し、その業務を総理」(私立学校法37条1)します。

この理事は、会社の取締役同様に登記し(組合等登記令)し、かつ所轄官庁に届出(私立学校法施行令1条1)をする必要があります。以前は、理事全員の登記が必須でしたが、平成17年4月より、理事長と寄附行為で定めのある理事のみを登記すれば良いとことになりました。

これの意味するところは、理事全員で協議していたのでは、変化の早い時代に合わず、理事長に権限と責任を集中して、スピード感のある運営を目指そうということです。

そうなる、理事長の独裁になるのではないかとう懸念がありますが、ちゃんと抑止する仕組みがあります。

まず、理事長は代表ではあっても、業務を決定するのは理事会ですので、理事会の反対を押し切ってすべてを決定することはできません。その理事会は過半数の出席なければ成立せず、過半数の賛成がなければ決定できません。

さらに、その理事会を身内で固めようと思っても、3親等以内は一人しか入れることはできません。また、その学校法人が設置する学校の長を一人は理事に入れる必要があります。

理事会の暴走を防ぐために、監事と評議員会を置くように義務付けられています。監事は学校法人の業務や財産の状況を監督し、評議員会は重要な事項に関して、理事会に意見を述べたり、報告を聞いたりします。この評議員会の代表が最低一人は理事になります。また、評議員には、その学校法人の職員や卒業生を加えることが義務付けられています。

このように、理事会の暴走や理事長の私物化を防ぐ仕組みが一応は用意されています。しかし、それは企業における取締役会や株主総会のそれと同じく、法律の理念と現実が必ずしも一致しているとは言えません。このあたりは、今後、詳しく書いていきます。

2010年6月17日木曜日

学校法人の基本的な性質2

学校法人が寄付で設立されることは、前回書きました。財団法人同様に、財産が基本的な性質ということになります。そして、その財産を運用し、設立時に寄付した人が設定した目的の達成のために使うのが理事の役割ということになります。

財団法人の場合、この当初の目的を変更するこは基本的にできません。目的が達成されたり、達成することが困難であることがはっきりした段階で解散ということになります。

しかし、学校法人の場合は、当初の学校と違う学校を運営したり、学校の内容が変わることは許されています。しかし、学校が1つもなくなった場合は、解散することになります。学校を運営することが目的で設立されるのが、学校法人ですから、当然と言えます。

もう少し、具体的に、設立時の様子を見てみます。まず、誰か、学校を作りたい、もしくは、作って欲しいと思って、私財を寄付します。寄付した人は、自らが理事として学校法人の管理をしても良いですが、誰かに託すこともできます。寄付した段階で、この財産は、個人のものではなく、学校法人のものとなります。もちろん、理事のものでもありません。理事は、管理を任されているだけです。寄付した人の意図は、設立時に作成される寄附行為という文書に盛り込まれます。

理事は、この寄附行為にしたがって、寄付された財産を利用して、学校を運営することになります。この寄附行為には、寄附行為を変更する場合の手続も記されていますので、この手続に従えば、変更することもできます。しかし、寄附行為の変更は、監督官庁の認可が必要ですので、理事が自由勝手に変更できる訳ではありません。

まとめますと、学校法人は、誰かの寄付で設立され、寄付した人はその財産でどのような学校を運営して欲しいかを寄附行為という文書にします。理事は、その寄附行為にしたがって、寄付された財産で学校を運営するということになります。

2010年6月12日土曜日

学校法人の基本的な性質1

学校法人のメリットは、まだまだありますが、それらのメリットを説明することは、学校法人の仕組みを理解することにもなりますので、メリットについてはこれくらいにして、本論に入っていきたいと思います。

まず、学校法人を理解するために、学校法人の基本的な性質について簡単に説明します。学校法人は学校を設置するためだけに作られた法人なのですが、学校法人という制度が出来る前は、財団法人が使われていました。そのため、学校法人の基本的な性質は財団法人のそれに似ています。財団法人は、現在は法改正で、公益財団法人と一般財団法人に分かれましたが、かつては、公益目的のみが認められ、民法34条で、次のように定められていました。、

学術、技芸、慈善、祭祀(し、宗教その他) の公益に関する社団又は財団であって、営利を目的としないものは、主務官庁の許可を得て、法人とすることができる。

これが、ルーツということのなります。そのため、いまでも学校法人の一番重要な文書(企業で言う定款)は、寄附行為と言います。

ですので、財団法人の基本が分かれば、学校法人も理解できることになります。財団法人とは、個人や企業などからの寄付で設立されて、その寄付を運用することで得られた利益で公益事業を行う法人になります。ただし、2008年12月の法改正で、公益性がない事業を行う一般財団法人の設立もできるようになりました。もちろん、学校法人は公益事業を行う公益財団法人の流れを引き継いでいます。

ここで、重要なのは、法人を構成するのは寄付された財産であるということです。社団法人が個人や法人で構成されるのと違います。財産はお金とは限らず、土地や建物などでも構いません。その財産を管理・運用する責任を負うのが理事と言うことになります。

学校も、通常は、設立時に校地・校舎や教具などが必要となりますので、これらを直接寄付してもらうか、購入に必要なお金を寄付で集めることからスタートします。

ここで重要なのは、設立時に必要な校地・校舎などは寄付であるという点です。もちろん、正しい手続きに従えば、これらを寄付した人には、優遇税制が適用されます。

2010年6月8日火曜日

学校法人のメリット(番外)

学校法人の税制面のメリットがもう1つあります。公に書くのも躊躇しますので、番外としました。それは、相続対策です。これは、学校法人の基本的な性格によるものですので、今後、詳しく書いていきますが、この性格を悪用(あえて「悪用」と書きます)すれば、相続税を逃れることができます。

そもそも、学校法人には相続という概念はありません。学校法人の財産は個人のものではなく、法人として引き継がれるもので、その財産の管理を委託されているが理事です。逆に言えば、この理事の椅子を引き継げば、学校法人を引き継いだことになります。役割を引き継ぐだけですから、相続税はかかりません。しかし、実質的に、法人の全権を引き継げば、相続したのに近い効果が生まれます。

つまり、理事のポストを円満に子どもに引き継げば、相続税を払うことなく、学校法人を相続できるということです。もちろん、学校法人を引き継いだからと言って、それを勝手に処分して個人財産とするこはできません。しかし、株式会社の場合、その株を相続するのに相続税が掛かることを思えば、有利であることに間違いありません。

もちろん、勝手に子どもを理事にすることはできません。ちゃんと法律で定められた手順で子どもが理事に選出される必要があります。この手順についても、追って書いていきます。

2010年5月31日月曜日

学校法人のメリット(3)

学校法人が直接関わる優遇税制以外に、もう1つ税制的なメリットがあります。それは、寄付控除という制度です。

寄付控除とは、学校法人に寄付をした個人や法人は税金が助かるという制度です。具体的には、個人は寄付金額が5千円以上(総所得金額等の40%が上限)の場合に、その金額を所得から控除、法人は、寄付金の全額が損金算入できるというものです。

分かりやすく言い換えれば、個人は2000円以上寄付(22年4月1日から従来の5000円以上から改正)すれば、寄付した金額分を収入から引いて、所得税を計算し直します。サラリーマンの場合は、源泉徴収で所得税を天引きされていますので、確定申告することで、税金が戻ってきます。個人事業主などで確定申告をする場合は、所得から寄付した金額を引いて申告できます。税率が10%の場合ですと、5000円寄付すると500円ほど税金が返ってくることになります。

たった500円のために確定申告するのは面倒と思われるかも知れませんが、いまは、電子申告と言って、インターネットで申告ができますので、税務署へ足を運ぶ必要もありません。住民基本台帳カードとICカードリーダーが必要ですので、1回だけの申告では、元は取れないかも知れませんが、継続的に寄付したり、多額の寄付をされる場合は、所得控除の恩恵も大きくなります。

また、確定申告が寄付をする障害になっているということから、年末調整で済ませることができるように法改正する動きがあります。年末調整であれば、学校法人から発行される領収書を会社に提出するだけですので、寄付をする人が増えることが期待されます。

また、法人の場合は、全額が経費として認められますので、儲かってる会社であれば、税金で取られるくらいなら寄付をしても、会社としては同じことになります。そのため、社長が母校に多額の寄付をするということもあり得ます。

このような寄付控除の目的は、学校法人が広く寄付を集めることで、その運営基盤を強固にしようということです。学校法人は、そもそも国や地方公共団体が行うべき教育サービスの一部を民間が担っているわけですので、国民から税金で集めて学校法人に補助しても、国民が学校法人に寄付して税金を免除しても、結果的に同じということです。国や地方公共団体が配分するより、学校法人の自助努力で寄付を集める方が民主的とも言えます。寄付であれば、学校法人の教育成果に比例して、集まると考えることができます。

いずれにせよ、寄付控除があることで、寄付という形の資金が集めやすくなっています。株式会社が配当負担のある資本金や金利を払わなければならない借入でしか資金を集めることができないのに比べてはるかに有利と言えます。

ところが、実際には、日本ではアメリカなどに比べてあまり寄付が集まらないのが実情ではあります。日本には寄付の文化がないことに加えて、確定申告がネックになっているのでしょう。しかし、一部の伝統校などでは強力な同窓会が組織されて、多額の寄付が集まっています。また、企業からお金ではなく、商品を寄付してもらうケースも増えています。自社の商品であれば、お金で寄付するより、節税効果が高くなります。企業にしてみれば不要な在庫を処分しながら、経費に計上できるということになります。

学校法人は創立資金は寄付というのが基本的な考え方です。創立時だけなく、継続的に寄付を集める仕組みが学校法人の経営には重要とも言えます。

2010年5月29日土曜日

学校法人のメリット(2)

学校法人が非課税なのは法人税だけではありません。

消費税もかかりません。消費税は、受け取る側が負担するのではなく、支払う側が負担し、学校は代理で受領するだけですので、税金がかからないことによる直接的なメリットはありません。しかし、支払う側が消費税の負担がないとなると、税金がかかる他の教育機関より、学費の負担が少なく、入学者が増えることが期待できます。

もちろん、消費税が非課税になるのは、授業料など教育に直接関わる部分のみで、教科書代などは課税対象になります。通常は、学校の課税対象の売上は少ないはずですので、課税業者となる1000万円を超えることは稀と思いますが、教科書などの物品を学校が販売したり、食堂を直営している場合は、課税業者になる可能性があります。

消費税以外に、固定資産税や不動産を取得した際に課税される登録免許税なども非課税です。もちろん、これらも法律で規定されている学校の用途に使用する場合だけです。かつては、地価の上昇を見込んで、学校法人が土地を校地という名目で購入し、固定資産税を免れるという行為も見受けられました。いまでは、税務当局も実際に教育の用に供しているかを厳しくチェックするようになりました。しかし、校舎の近くで、運動場や自転車置場ということであれば、更地に近い状態で固定資産税を負担することなく、土地を保有できます。ただし、職員用の駐車場なら課税されるようですが。

このように学校法人が税制的にいろいろ優遇されていますが、文部科学省がまとめていますので、紹介しておきます。

http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shinkou/07021403/003.htm

2010年5月26日水曜日

学校法人のメリット(1)

1条校を設置するには、民間では学校法人を作るしかないということはすでに書きました。特区を使えば株式会社でも学校を作ることはできますが、総合的に判断して、学校法人での設立をお勧めします。これから理由を書いていきます。

まず、何と言っても税金面の優遇があります。その中でも一番大きいのが法人税です。通常、株式会社は、その利益に対して30%の法人税や地方税である法人事業税などが課せられています。しかし、学校法人は、そのそも納税義務者に含まれていません。法人税法4条で、納税義務者が規定されているのですが、「内国法人は、この法律により、法人税を納める義務がある。ただし、公益法人等又は人格のない社団等については、収益事業を行う場合・・・に限る。」となっています。


別表第2で、この公益法人が具体的に列挙されているのですが、社会福祉法人や宗教法人と並んで学校法人も明記されています。また、専修学校のみを設置している学校法人も含めると書かれています。


ということは、法人税については、免税というより、そもそも納税義務がないということになります。ただし、収益事業を行う場合は、納税義務があります。逆に言えば、収益事業以外は非課税ということになります。収益事業は、学校の運営を財政面で支援するために、収益を目的として学校法人が行う事業なのですが、何でも良いというわけではありません。日本産業分類に基づいて18種類が指定されています。18種類となると実質的にほとんどの業種が含まれ、禁止されているのは、貸金業、クラブ・キャバレー、武器製造、風俗業など、常識的に考えて教育になじまない業種に限られます。


つまり、学校法人は、学校以外の事業をすることは可能ですが、その場合は、課税されるということです。ただし、その場合でも、課税されるのは、収益事業に関する収益に対してであり、学校事業は課税されません。

しかも、この収益事業への課税も22%(一般法人は30%)という軽減税率が適用されます。しかも、みなし寄付金制度があり、所得の半分か200万円までであれば、学校に寄付したとみなして、損金として処理できます。つまり、乱暴に言えば、利益の半分にしか課税されないということになります。

一般法人の方から見れば、不公平な感じがしますが、これは、学校法人は教育を目的とし、本来であれば、国や地方公共団体が税金で行うべき教育の一部を民間が担っているため、その目的のために使われるお金であれば課税しないという考えに基づいています。学校法人が収益事業で利益を出しても、それは学校のために使われることを予定しているわけですから、課税する必要がないというわけです。

2010年5月24日月曜日

株式会社立

学校は、法律で国、地方公共団体か学校法人しか設立できませんが、特区で株式会社立も認められています。特区で例外的に認める必要があるということは、学校法人の設立が難しいからに他なりません。詳しくは、今後、じっくり説明しますが、一番の問題はお金です。

株式会社であれば、資本金が1円でも設立できます。しかし、学校法人は学校を作るのに必要なお金に加えて、当面の運転資金も現金で保有していなければ認可されません。これは、認可されたものの、すぐに倒産などということがないようにするためです。その分、法人税などが免除されるなど、各種の優遇を受けることができす。

特区で株式会社での学校参入が認められた直後は、多くの株式会社が学校経営に参入しましたが、その大半が徹底もしくは苦戦を強いられています。原因は簡単です。お金がないから特区を使って参入した訳ですから、潤沢な自己資金を持っている学校法人に比べれば、利子や配当負担のある資金では不利になります。加えて、税負担もあります。上場して市場から新たな資金調達ができること以外、有利な点はないでしょう。

生徒や保護者から見ても、経営が不安定な株式会社立を積極的に選択する理由は見いだせません。もちろん、世界に名前の通っているような大企業が参入すれば、話は違ってくるかも知れませんが、そのような動きは見受けられません。また、これから学校を作ろうという人には、関係のない話です。

学校を作ってしまえば、母体が株式会社か学校法人かは、学んでいる人には関係のない話ですが、作る側には大きな選択となります。株式会社にもメリットはありますが、以下の理由で、私は学校法人をお勧めします。

1.撤退が続いており、社会的な評価が良くない
2.上場した場合、誰が株主になるか分からず、学生や保護者が株主となった場合、公平な教育が行える保証がない
3.税制面の不利がある
4.寄付をした人の所得控除が使えない(寄付を集めにくい)

特区で認められている以上、行政としても表向きは受け付けるでしょうが、実際は、学校法人での申請を強く勧められると思われます。実際、当初は株式会社での参入を表明したところが、最終的には学校法人で申請したり、いったん株式会社で設立したものの、学校法人に変更した例が相次いでいます。

株式会社での参入を認めるという特区の精神は良かった思いますが、特区が経済的な側面しか見ないため、永続的に学校を運営するための仕組みについての検討が足りなかったのでしょう。残念ですが、特区による株式会社での学校設立は失敗と思います。

そのため、これから学校を作る場合は、学校法人を前提に考えてください。学校法人の設立も難しくはありません。もちろん、株式会社よりは時間も手間もかかりますが、それに見合ったメリットがあります。そして、目指す教育を後世に残すための最善の方法なのです。

2010年5月23日日曜日

専修学校とは

ここで、専門学校、各種学校、専修学校についてまとめて整理しておきます。専門学校という言葉は日常的に使いますが、新聞などでも間違えている場合があります。

まず、専門学校を名乗れるのは専門課程を置いている専修学校だけです。ちゃんと学校教育法の126条に規定されています。ここで注意が必要なのは、高等専門学校と専門学校は、まったく別の学校ということです。高等専門学校は、学校教育法1条に定められている学校で、高校と短大を合わせたような学校です。専門学校は専修学校の中で、高校を卒業した人が入学する2年以上の課程(専門課程)を置いている場合に限定されます。

専修学校には、この専門課程以外に、中卒対象の高等課程があり、この場合は、高等専修学校を名乗ることができます。専門課程、高等課程以外に誰でも入学できる一般課程というのもあります。

各種学校というのは、学校教育法の1条で規定されている学校と専修学校以外ということになります。この各種学校も法律で要件が定められ、都道府県知事の認可を受ける必要があります。そのため、「各種の学校」とは意味が違います。

ところで、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校は学校教育法の1条で規定されていますので、1条校という表現をし、専修学校と別に捉えられることが多くあります。さまざまな法律で、学校を指す場合に「学校教育法の1条で定める学校」という表現を用いられると専修学校が対象から漏れてしまいます。そのため、いろいろな不利益があると専修学校関係者は訴えています。逆に、監督が緩やかという面もありますので、一概に不利とはいい切れないですが、同じ世代の教育を受け持っていても、専門学校と短大、高等専修学校と高校では、世間の受け取り方が違うのは確かかも知れません。それが、法律の条文が原因とは言い切れませんが。

専修学校が1条校でないため、2条の制限を受けないという面もあります。2条とは、学校を設置できるのが、国、地方公共団体、学校法人に限定されている条文です。そのため、法律上は、専修学校は個人や株式会社でも設立することができます。実際、個人、財団法人、社団法人、宗教法人などが設置しているケースがあります。しかし、今後の新設となると、多くの都道府県が、学校法人による設置を指導しているのが実情ですので、簡単ではないかも知れません。

2010年5月18日火曜日

私立学校とは

学校を作るには文部科学大臣か都道府県知事の認可が必要なことは、「認可とは」で書きましたが、じゃー、私でも作れる?と思った方もおられるでしょう。残念ながら、学校(幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学、高等専門学校)を設置できるのは、学校教育法の第2条で、国、国立大学法人、地方公共団体、学校法人に限定されています(専門学校は、これらの学校に含まれませんので、別に詳しく書きます)。

私たち個人は、国や地方自体にはまれませんので、学校法人を作らない限り、学校を作れないということになります。この学校法人が作った学校がいわゆる私立学校になります。

じゃー、学校法人はどうやって作ればいいの?ということなりますが、これもちゃんと「私立学校法」という法律があります。ここに、条件や作り方が書いてあります。細かな規定は、「私立学校法施行令」や「私立学校法施行規則」に書かれています。しかし、学校法人も認可が必要で認可は文部科学大臣と都道府県知事に分かれますので、実際の基準は国や都道府県によって違ってきます。

学校法人は公益法人の一種で、財団法人に近い性質になりますが、詳しくは、今後書いていきますので、ここでは、学校を作るには、学校法人を作ることとセットだいうことだけ覚えておいてください。

でも、株式会社立の学校もあるって聞いたことがありますよね。そうです。最近は特区(構造改革特別区域)で、株式会社でも学校を作れるようになりました。このことも、今後、書いていきます。




2010年5月17日月曜日

認可とは

学校教育法という法律で、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校と専修学校、各種学校(各種の学校ではなく各種学校。詳しくは後日)を作るには、ちゃんと認可を受ける必要があります。


話を簡単にするために私立に限って書けば、大学と高等専門学校は文部科学大臣、幼稚園、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、専修学校、各種学校は都道府県知事の認可が必要です。


一応、「認可」という意味も確認しておきましょう。認可とは法律行為の効力を発揮させるために行われます。そのため、認可を受けないで行うことは、禁止されるわけではありませんが、法律的な効力はないということになります。大学や高等学校など法律で定められている名称を勝手に使うと罰金の規定はありますが、名前を使わなければ大学や高校のような教育機関を作ること自体は禁止されていないということなります。


しかし、認可を受けていないので、勝手に作った教育機関で卒業証書や資格の証明書を発行しても、法的な効力はありません。つまり、大卒にも高卒にもならないということになります。


認可の基準は法律で定められていますので、基準を満たせば、認可される可能性は大きいと言えます。しかし、裁量の余地は認めれていますので、基準を満たすだけで自動的に認可されるわけではありません。

2010年5月16日日曜日

学校とは

いきなり堅苦しい話からですが、「学校」という言葉をちゃんと定義しておく必要があります。
というのも、実は学校は法律でしっかり決まっています。学校教育法という法律があって、その第1条で


この法律で、学校とは、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校とする。


と定義されています。えっ? じゃー、英会話学校や専門学校は学校じゃないの? と疑問になります。専門学校については、この法律の後ろの方で定義されていますので、学校に含めることができますが、英会話学校や自動車学校はこの法律では学校ではないことになります。


もちろん、日常会話で英会話学校という表現を使っても支障はないのですが、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学、高等専門学校や専門学校、専修学校、各種学校という名称は、それぞれの学校として認可された教育機関以外は使うことができません。ちゃんと、罰則もあって、10万以下の罰金となります。


ですので、学校といえば、法律で定義された種類に限定し、それ以外の教育機関は教室やスクールと表現することが多いようです。防衛省が設置している防衛大学校や、厚労省の職業能力開発大学校は、大学ではなく大学校と名乗っているのは、学校教育法で言う大学ではないからです。


逆に、大学や高校は大学や高校と名乗る義務はないので、少し混乱します。慶応義塾は、大学は慶應義塾大学ですが、高校は慶應義塾高等学校もありますが、慶應義塾普通部とか慶應義塾湘南藤沢高等部もあります。なので、例えば、和田公人学園高等部となると、高等学校なのかどうか、名前だけでは見分けがつかなくなります。


少なくとも、高等学校と名乗っていれば、法律にしたがって作られた高校と思って間違いなく、もし、勝手に高校を名乗っていれば、大問題ということです。

2010年5月15日土曜日

ごあいさつ

「学校って作れるの?」「学校ってどうやって作ればいいの?」そんな疑問にお答えします。
自分の周りに学校を作った人なんていないのが普通です。株式会社を作った人はいても、学校を作った人はめったにいません。
株式会社より、お金も、手間も必要かも知れませんが、学校の作り方は、法律でちゃんと決まっています。それに従えば、作れます。
しかし、一番重要なのは、教育への熱い情熱で、確固たる教育理念です。

ここでは、そんなことを徐々に説明していきたいと思います。