2010年6月23日水曜日

学校法人の基本的な性質4

これから学校を作ろうという方は、基本的に学校法人を設立し、その理事長に就任することになると思います。もちろん、信頼できる人に理事長をお願するという方法もありますが、理事長や理事会を理解せずに、学校法人の運営はできませんので、もう少し、詳しく解説します。

理事長ないし理事会は、学校法人の運営方針を決めるのが仕事ですので、毎日仕事があるわけではありません。そこで、非常勤の理事長や理事というケースもあり得ます。すべての理事が非常勤という学校法人もあります。

理事が非常勤ばかりだと、どうやって経営するんだと疑問になりますが、「学校法人の基本的な性質3 」で書いたように、学長・校長のうち一人は必ず理事になりますので、一人は必ず法人内にいるということになります。この場合でも、この学長・校長は、普段は学長・校長の仕事をしているのであって、理事としての仕事は、その合間にしているに過ぎません。

常勤の理事や理事長という場合、理事・理事長の仕事に専念し、学校法人に常駐できる状態の人を言います。そういう理事を常務理事と表現している場合もありますが、常務理事という名称は、その法人固有の言い方です。

専任の常勤理事を置いている方が例外で、多くの学校法人では、学長・校長との兼務であったり、事務局長や職員、教員を理事にしているのが実情です。このような教職員兼任の理事は、教職員としての給与を貰っているに過ぎず、理事としては無給の場合が大半です。つまり、普段は教職員としての仕事に専念し、理事会のときだけ理事としての仕事をしていることになります。

このように、常勤の理事が教職員の兼務で、それ以外の理事が非常勤というのが中小の学校法人の実態でしょう。もちろん、大きな大学法人になれば、常勤の理事を置いていますが、これから学校法人を作ろうという場合には、常勤の理事に給与を支払う余裕はないと考えるべきでしょう。

法的には、このような教職員の理事と非常勤理事でも問題ありません。しかし、学校法人の理事は経営者です。優秀な教職員が必ずしも経営者として優れているとは限りませんし、24時間365日、経営のことを考えている人がいなくて、学校法人の運営が適切に行えるかは別問題です。もちろん、学校法人が設置する学校が1つしかない場合には、学長・校長が理事長を兼ねて、すべてを見るということもあり得ます。その方が人件費が節約できます。幼稚園や専門学校などで小規模な法人に多いパターンでしょう。

ただし、学校法人を代表するのは原則として理事長のみですので、理事長は常勤が望ましいということになります。理事長が名誉職的に非常勤という学校法人も見受けられますが、理事長の権限を強化するために改正された私立学校法の主旨から考えても適切とは言えません。

理事会のことを例えて、プロ野球のフロント、学長・校長を監督と表現した人がいました。また、学長・校長が社長であれば、理事会は株主とも言えます。しかし、大きく違うのは、株主であれば、その責任は出資額に限定されますが、理事は学校法人を代表しますので、学校法人が第3者に与えた損害は、それを賠償する責任を負います。つまり、無限責任です。寄附行為で代表者を理事長に限定することは可能ですが、善意の第3者に対抗できるとは限らず、理事も無限責任を問われる可能性はあります。少なくとも、理事長は無限責任であるということは、理解しておく必要があります。

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