2011年12月18日日曜日

出願手続(幼稚園学則)

(出願手続) 
第15条 入園しようとする者は,所定の申込書に必要事項を記入し,入園申込料を添えて,園長に提出するものとする。 




入園に関する権限は園長と定めている幼稚園が一般的ですので、それを明確にするとともに、入園に必要な手続きを定めた条文ですが、入園手続は変更する場合もありますので、ここではあまり具体的に記述せずに、願書と手数料が必要なことのみを記述しています。

2011年12月9日金曜日

入園許可(幼稚園学則)

(入園許可) 
第14条 入園は,園長がこれを許可する。 




これは幼稚園に限ったことではなく、大学に至るまで園長、校長、学長が入学、卒業に対する許可の権限を持っているのが一般的です。


学校法人において理事会は最高の意思決定機関で、理事長はその代表ですが、直接、入学や卒業に関する権限を有しているわけではありません。園長を監督する中で間接的な影響を行使することになります。

2011年11月23日水曜日

教職員組織(幼稚園学則)

(教職員組織)
第13条 本園に次の教職員を置く。
園長    1人
教頭    ◯人
教諭    学級数を下らない数
園医    ◯人
園歯科医  1人
園薬剤師  1人
事務職員  ◯人以上
技術職員  ◯人以上
2 園長は,園務をつかさどり,所属職員を監督する。
3 教頭は,園長を助け,園務を整理し,及び必要に応じ幼児の保育をつかさどる。
4 教諭は,幼児の保育をつかさどる。


学校教育法の27条で園長、教頭と教諭は必ず必要となっています。それ以外の副園長、主幹教諭、指導教諭、養護教諭、栄養教諭、事務職員、養護助教諭その他必要な職員は必要に応じて配置すれば良いことになっています。
また、それぞれの役割も下記のように明記されています。

園長は、園務をつかさどり、所属職員を監督する。
・副園長は、園長を助け、命を受けて園務をつかさどる。
教頭は、園長を助け、園務を整理し、及び必要に応じ幼児の保育をつかさどる。
主幹教諭は、園長(副園長を置く幼稚園にあつては、園長及び副園長)及び教頭を助け、命を受けて園務の一部を整理し、並びに幼児の保育をつかさどる。
指導教諭は、幼児の保育をつかさどり、並びに教諭その他の職員に対して、保育の改善及び充実のために必要な指導及び助言を行う。
・教諭は、幼児の保育をつかさどる。

つまり、この学則例の条文は学校教育法そのままということになります。

なお、教諭の数は、幼稚園設置基準で次にようになっています。

・幼稚園には、園長のほか、各学級ごとに少なくとも専任の主幹教諭、指導教諭又は教諭(次項において「教諭等」という。)を一人置かなければならない。

 つまり、園長+クラスの数が最低限の人員ということになります。

2011年11月20日日曜日

収容定員(幼稚園学則)

  (収容定員) 
第12条 本園の園児の収容定員は◯◯人とする。




定員は、入学定員と収容定員という考え方がありますが、学校教育法では収容定員という考え方に立っています。 

2011年11月10日木曜日

保育内容(幼稚園学則)

(保育内容)
第11条 保育内容は,幼稚園教育要領に示された5領域(健康,人間関係,環境,言葉及び表現)のねらいが達成されるように総合的に指導する。


学校教育法の第23条には以下のように規定されています。

第二十三条  幼稚園における教育は、前条に規定する目的を実現するため、次に掲げる目標を達成するよう行われるものとする。
 健康、安全で幸福な生活のために必要な基本的な習慣を養い、身体諸機能の調和的発達を図ること。
 集団生活を通じて、喜んでこれに参加する態度を養うとともに家族や身近な人への信頼感を深め、自主、自律及び協同の精神並びに規範意識の芽生えを養うこと。
 身近な社会生活、生命及び自然に対する興味を養い、それらに対する正しい理解と態度及び思考力の芽生えを養うこと。
 日常の会話や、絵本、童話等に親しむことを通じて、言葉の使い方を正しく導くとともに、相手の話を理解しようとする態度を養うこと。
 音楽、身体による表現、造形等に親しむことを通じて、豊かな感性と表現力の芽生えを養うこと。
 
この規定を受けて、幼稚園教育要領に「ならい及び内容」として、この5領域(健康,人間関係,環境,言葉及び表現)について詳しく書かれています。詳細はこちら
 
このため、すべての幼稚園はこの5領域について指導する必要がありますので、この条文は当然の内容ということになります。

2011年11月4日金曜日

教育課程(幼稚園学則)

(教育課程)
第10条 教育課程は幼稚園教育要領の基準により,園長が定める。


幼稚園教育要項とはいわゆる学習指導要領のことで、文部科学省のホームページで公開されいます。この幼稚園教育要項は学校教育法の25条の「幼稚園の教育課程その他の保育内容に関する事項・・・文部科学大臣が定める。」に基づいて文部科学大臣が定めたものですので、法律に準ずる効力を持ちます。そのため、幼稚園においては、この教育要項の範囲内で教育を行うことになります。この教育要項に反しない範囲で、独自の教育を行うことは問題ありませんので、それを園長が定めることになります。

2011年10月24日月曜日

保育時間(幼稚園学則)

(保育時間)
第9条 保育時間は,午前◯◯時◯◯分から午後◯◯時◯分までとする。ただし,季節により変更することがある。 





保護者との保育時間の契約にあたる条項ですので、できるだけ具体的に書くのが望ましいことになります。通常の保育時間は◯時◯分から◯時◯分までと明記するべきです。ただし、実際には行事などで短くなる日もありますので、「通常は」とか「原則として」のようにしたり、例外を列記するなどした方が良いでしょう。


上記の例では季節による変動を盛り込んでいますが、季節による変更より、行事にようるケースの方が多いと思われますので、「ただし、行事などの都合により変更する場合がある。」のように書き加えるのが良いかも知れません。

2011年10月14日金曜日

授業日数(幼稚園学則)

(授業日数)
第8条 本園の授業日数は次のとおりとする。
                              
 (1)1学年の教育週数 39週以上
 (2)1週の教育日数 ◯日
 (3)1日の教育時数 ◯時間を原則とする。


学校教育法施行規則の第37条に、「幼稚園の毎学年の教育週数は、特別の事情のある場合を除き、三十九週を下つてはならない。」とありますので、39週以上というのが最低基準となります。1年は約52週ですので、夏休みなどを除いても39週以上は行う必要があります。
また、同規則で休日は原則として土日は休業日となっていますので、1週の教育日数は5日が基本となります。
幼稚園における一日の教育時間数に関しては、法令上の規定はありませんが、教育課程審議会が4時間を標準とすることが妥当という答申(幼稚園、小学校、中学校、高等学校、盲学校、聾学校及び養護学校の教育課程の基準の改善について、平成10年7月29日)を出していますので、これを参考にすることになります。

2011年9月26日月曜日

休業日(幼稚園学則)

(休業日)
第7条 本園の休業日は,次のとおりとする。
 (1)日曜日
 (2)土曜日
 (3)国民の祝日に関する法律に規定する休日
 (4)開園記念日 ◯月◯日
 (5)夏季休業 ◯月◯日から◯月◯日まで
 (6)冬季休業 ◯月◯日から翌年◯月◯日まで
 (7)春季休業 ◯月◯日から◯月◯日まで
 (8)その他園長が必要と認めた日


学則は、保護者と幼稚園の契約ですので、子どもを預かる日は明確にしておく必要があります。土日・祝日は、問題ないとして、夏休み、冬休み、春休みも期間を明記しておく必要がります。これら以外に休みがある場合は、ここに列記します。この例では開園記念日を休みとしています。また、8項でその他を入れてありますが、この規定があるからと、安易に休みを増やすと保護者との契約違反を問われかねません。この項目は、あくまでも、臨時的な休業であって、恒常的に休園となる場合は、学則を変更するべきです。

2011年9月17日土曜日

保育期(幼稚園学則)

(保育期)
第6条 1年を次の3保育期に分ける。
第1保育期 4月1日から7月31日まで
第2保育期 8月1日から12月31日まで
第3保育期 1月1日から3月31日まで


幼稚園設置基準には、学期を定めるようには求めていませんが、計画的に教育活動を行うために、1年を区切ります。実際には、夏休みや冬休みを挟んで3学期に区切るのが、流れ的にスムーズなため3学期制が一般的ですが、必ずしも3学期である必要はありません。

2011年9月15日木曜日

保育年限(幼稚園学則)

(保育年限)
第5条 本園の保育年限は,1年,2年及び3年とする。

幼稚園に入園できるのは、満3歳から小学校入学前までですので、4月に入園すると最長で3年、最短で1年ということになります。いわゆる1年保育、2年保育、3年保育の規定になります。4歳児と5歳児のみを受け入れるということであれば、1年というのがなくなります。

小学校が4月開始ですので、卒園は3月ということになりますが、入園はいつでも良いことになりますが、保育園と違って、学習指導要領に基づいた教育を行うことを考えると、毎月、入園というのは難しいところです。しかし、実際には、途中入園という形で受け入れているのが実態でしょう。そのため、学則上に1年半とか2年9ヶ月などという保育年限を定める必要はなく、受け入れすることができます。

2011年9月3日土曜日

入学資格(幼稚園学則)

(入園資格)
第4条 本園に入園することのできる者は,満◯歳から小学校就学の始期に達するまでの幼児とする。

学校教育法の第26条で「幼稚園に入園することのできる者は、満三歳から、小学校就学の始期に達するまでの幼児とする。」と定められていますので、学則上も3歳から小学校就学始期までの間で定めることになります。いわゆる3年保育であれば3歳から、2年保育なら4歳からになります。
最近は、3年保育がほとんどです。 最近は、ゼロ歳児や1歳、2歳の乳児を預かる幼稚園も多いですが、これらが正規の教育課程の幼稚園児として受け入れているのではなく、預かり保育として実施しています。

2011年8月24日水曜日

位置(幼稚園学則)

(位置)
第3条 本園は,宮城県◯市◯丁目◯番地に置く。

ここは、幼稚園の所在地を明記するだけです。幼稚園なので自身のことは本園という表現になっています。
会社では番地まで明記しないこともありますが、幼稚園は、頻繁に移転することもないですので、番地まで明記するのが一般的です。

2011年8月1日月曜日

名称(幼稚園学則)

(名称)
第2条 本園は,◯◯幼稚園という。

幼稚園という名称は、認可を受けた機関以外は使用できません。これに違反した場合は10万円以下の罰金と、学校教育法に定められています。幼稚園が幼稚園以外の名称を名乗ることは禁止されていませんが、せっかくの特権ですので、幼稚園の名称を利用するのが良いでしょう。

最近、創設された幼稚園と保育園の複合施設である「認定こども園」は「就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律」の9条で、「何人も、認定こども園でないものについて、認定こども園という名称又はこれと紛らわしい名称を用いてはならない。」と定められていますので、勝手に使用することはできません。なお、違反し場合は30万円以下の罰金に処せられます。

ちなみに、保育園の名称は独占使用が明記されていませんので、無認可の託児所でも「保育園」を名乗ることは処罰の対象になりません。

2011年7月20日水曜日

目的(幼稚園学則)

(目的)
第1条 本園は,教育基本法及び学校教育法に基づき,義務教育及びその後の教育の基礎を培うものとして,幼児を保育し,幼児の健やかな成長のために適当な環境を与えて,その心身の発達を助長することを目的とする。


学校教育法第22条に「幼稚園は、義務教育及びその後の教育の基礎を培うものとして、幼児を保育し、幼児の健やかな成長のために適当な環境を与えて、その心身の発達を助長することを目的とする。 」とあります。学則の最初に定める目的は、この学校教育法に則って定めることになります。この見本は、まさにそのまま学校教育法を写したものです。ここまで真似る必要はなく、幼稚園設立者の思いを盛り込むべきです。もちろん、法律の範囲を逸脱した目的を並べることはできませんが、この目的こそが教育理念が反映される部分ですので、じっくり検討してください。

2011年7月8日金曜日

幼稚園学則例

幼稚園学則の例は各都道府県が公開しています。以下は、宮城県の例ですが、各都道府県とも大差はありません。今後は、この学則を詳しく見ていくことにします。



◯ ◯幼 稚 園 園 則

第1章 総則
(目的)
第1条 本園は,教育基本法及び学校教育法に基づき,義務教育及びその後の教育の基礎を培うものとして,幼児を保育し,幼児の健やかな成長のために適当な環境を与えて,その心身の発達を助長することを目的とする。

(名称)
第2条 本園は,◯◯幼稚園という。

(位置)
第3条 本園は,宮城県◯市◯丁目◯番地に置く。

(入園資格)
第4条 本園に入園することのできる者は,満○歳から小学校就学の始期に達するまでの幼児とする。

第2章 保育年限,保育期及び休業日
(保育年限)
第5条 本園の保育年限は,1年,2年及び3年とする。

(保育期)
第6条 1年を次の3保育期に分ける。
第1保育期 4月1日から7月31日まで
第2保育期 8月1日から12月31日まで
第3保育期 1月1日から3月31日まで

(休業日)
第7条 本園の休業日は,次のとおりとする。
(1)日曜日
(2)土曜日
(3)国民の祝日に関する法律に規定する休日
(4)開園記念日 ◯月◯日
(5)夏季休業 ◯月◯日から◯月◯日まで
(6)冬季休業 ◯月◯日から翌年◯月◯日まで
(7)春季休業 ◯月◯日から◯月◯日まで
(8)その他園長が必要と認めた日

第3章 授業日数,保育時間,教育課程,保育内容及び収容定員
(授業日数)
第8条 本園の授業日数は次のとおりとする。

(1)1学年の教育週数 39週以上
(2)1週の教育日数 ◯日
(3)1日の教育時数 ◯時間を原則とする。

(保育時間)
第9条 保育時間は,午前◯◯時◯◯分から午後◯◯時◯分までとする。ただし,季節により変更することがある。

(教育課程)
第10条 教育課程は幼稚園教育要領の基準により,園長が定める。

(保育内容)
第11条 保育内容は,幼稚園教育要領に示された5領域(健康,人間関係,環境,言葉及び表現)のねらいが達成されるように総合的に指導する。

(収容定員)
第12条 本園の園児の収容定員は○○人とする。

第4章 教職員組織
(教職員組織)
第13条 本園に次の教職員を置く。
園長    1人
教頭    ◯人
教諭    学級数を下らない数
園医    ◯人
園歯科医  1人
園薬剤師  1人
事務職員  ◯人以上
技術職員  ◯人以上
2 園長は,園務をつかさどり,所属職員を監督する。
3 教頭は,園長を助け,園務を整理し,及び必要に応じ幼児の保育をつかさどる。
4 教諭は,幼児の保育をつかさどる。

第5章 入園,退園及び休園
(入園許可)
第14条 入園は,園長がこれを許可する。

(出願手続)
第15条 入園しようとする者は,所定の申込書に必要事項を記入し,入園申込料を添えて,園長に提出するものとする。

(入園手続)
第16条 入園の許可を受けた者は,別に指定する日までに必要書類に入園料及び○○費を添えて入園手続をしなければならない。
2 前項に定める手続が指定する日までに行われないときは,入園許可を取り消すことがある。

(退園,休園)
第17条 退園又は休園しようとする者は,その理由を記して保護者から園長に願い出るものとする。
2 病気その他の理由により,他の園児に悪影響を及ぼすおそれのある者は,退園又は休園させることがある。

第6章 修了及び褒賞
(修了)
第18条 園長は,園児が所定の保育課程を修了したと認めたときは,卒園証書を授与する。

(褒賞)
第19条 心身の発達が著しく他の模範となる者は,これを褒賞することがある。

第7章 保育料,入園時納付金及び入園申込料
(保育料,入園時納付金及び入園申込料等)
第20条 本園の保育料,入園時納付金及び入園申込料等の種類及び額は,次のとおりとする。

入 園 申 込 料 ◯◯◯円
入 園 時 納 付 金
入 園 料 ◯◯◯円
◯◯費 ◯◯◯円
月  納  金
保 育 料 ◯◯◯円
◯◯費 ◯◯◯円

2 保育料は,出席の有無にかかわらず毎月○日までにその月分を納入しなければならない。
3 正当な理由がなく,保育料を所定の期日までに納入しなかったときは,退園させることがある。
4 保育料は,別に定めるところによりその全部又は一部を免除することがある。

第21条 第20条に規定する保育料,入園時納付金及び入園申込料について,次の各号に掲げる理由等により,園長が認める場合は,その全部又は一部を免除することがある。
(例)(1)本園へ2人以上が同時入園となる場合,入園申込料の2分の1に相当する額を減免する。

第8章 雑則
(雑則)
第22条 この園則の施行に関し必要な事項は,園長が別に定める。

附 則
この園則は,平成○○年○○月○○日から施行する。ただし,入園料,○○費及び入園申込料の額については,平成◯◯年◯◯月◯◯日から適用する。

2011年6月20日月曜日

附則(寄附行為の書き方)

附則
1 この寄附行為は、文部科学大臣の認可の日(平成○年○月○日)から施行する。
2 この法人の設立当初の役員は、次のとおりとする。
理事(理事長)◯◯◯◯
理事◯◯◯◯
理事◯◯◯◯
理事◯◯◯◯
理事◯◯◯◯
監事◯◯◯◯
監事◯◯◯◯
3 平成◯年◯月◯日までの間は、第二十四条第一項第二号中「学校を卒業した者」とあるのは「
・・・・・・」と読み替えるものとする。

いよいよ、寄附行為の書き方もこの附則で最後です。附則の1はこの寄附行為が有効になる日付、2は設立当初の理事と幹事の氏名を書いてあります。これは、寄附行為に基づいて選出するまでの理事を明記しておかないと、理事の選出そのものができないからです。3つ目は24条で卒業生から評議員を選出する規定を設けている場合の対処方法です。まだ卒業生がいない訳ですから卒業生を排出するまでの代替措置を明記します。

2011年6月9日木曜日

施行催促(寄附行為の書き方)

(施行細則)
第四十五条 この寄附行為の施行についての細則その他この法人及びこの法人の設置する学校の管理及び運営に関し必要な事項は、理事会が定める。


最後の条文は、多くの規定にある一般的な内容です。寄附行為ですべてを定めることはできませんので、細かな内容は別途定めることになります。それを定めるのは理事会であるということを明記します。

2011年6月4日土曜日

公告の方法(寄附行為の書き方)

(公告の方法)
第四十四条 この法人の公告は、○○学園の掲示場に掲示して行う。

公告とは公に公表しなければならないことですが、その方法は寄附行為に明記することが私立学校法で求められています。公告の方法としては、現在でも掲示場としている学校法人が大半ですが、株式会社では電子公告が多くなっています。電子公告とはホームページ上で行うことです。今後は、学校法人でも主流となると思われますので、寄附行為でも対応しておくと良いかも知れません。

私立学校法で求めている公告しなければならない事項は、学校法人が解散、破産による精算時の債権の申出と合併時の異議申立てですが、これらの場合に、公告しなかった場合は、20万円以下の過料の罰則があります。なお、清算時の公告は官報によることが求められていますので、ホームページのみでという訳にはいきません。

2011年5月21日土曜日

書類及び帳簿の備付(寄附行為の書き方)

(書類及び帳簿の備付)
第四十三条 この法人は、第三十六条第二項の書類のほか、次の各号に掲げる書類及び帳簿を、常に各事務所に備えて置かなければならない。
一寄附行為
二役員及び評議員の名簿及び履歴書
三収入及び支出に関する帳簿及び証ひよう書類
四その他必要な書類及び帳簿


ここにある36条の2項とは財産目録、貸借対照表、収支計算書及び事業報告書と監査報告書で、これらは法令で求められる書類ですが、これら以外に上記も、当然、備え付けておくべき書類になります。特に寄附行為に定めるまでもないかも知れません。

2011年5月2日月曜日

寄附行為の変更(寄附行為の書き方)

(寄附行為の変更)
第四十二条 この寄附行為を変更しようとするときは、理事会において出席した理事の三分の二以上の議決を得て、文部科学大臣の認可を受けなければならない。
2 私立学校法施行規則に定める届出事項については、前項の規定にかかわらず、理事会において出席した理事の三分の二以上の議決を得て、文部科学大臣に届け出なければならない。


寄附行為を変更する手続きを定めているのがこの条文ですが、監督官庁の認可が必要な事項と届出で済む事項があります。監督官庁は、大学など文部科学大臣と、高校や専修学校のように都道府県知事の場合で条文は違ってきます。これらは、私立学校法で求められている内容ですので、裁量の余地はありませんんが、学校法人側での手続きは自由に定めることができます。一般的には理事の3分の2以上の決議ですが、4分の3以上としたり、評議員会の議決を加えることもできます。

2011年4月28日木曜日

合併(寄附行為の書き方)

(合併)
第四十一条 この法人が合併しようとするときは、理事会において理事総数の三分の二以上の議決を得て文部科学大臣の認可を受けなければならない。


2つ以上の学校法人が合併するには、それぞれの学校法人の寄附行為の定めにしたがって理事会や評議員会の議決を得るとともに、所轄官庁の認可が必要になります。所轄官庁の認可が必要なのは、寄附行為が変更さえることから当然となります。また、私立学校法で理事の3分の2以上の同意が必要と規定されていますので、寄附行為で合併手続きを定める場合は、これ以上の規定とする必要があります。理事の4分の3以上としたり、評議員会の同意も求めることは可能です。

私立学校法には、合併については規定されていますが、分割については定められていません。2つ以上の学校を設置している学校法人が、2つ以上に分割する場合は、新たな学校法人を設立し、その学校法人に学校を設置者変更で移すという手順になります。

2011年4月18日月曜日

残余財産の帰属者(寄附行為の書き方)

(残余財産の帰属者)
第四十条 この法人が解散した場合(合併又は破産によって解散した場合を除く)における残余財産は、解散のときにおける理事会において出席した理事の三分の二以上の議決により選定した学校法人又は教育の事業を行う公益法人に帰属する。


学校法人が解散する場合は、設置している学校がなくなる場合です。学校を設置しない学校法人はありませんので、学校がなくなった時点で当然に解散ということになります。学校がなくなるとは、生徒、学生の募集を停止し、全員が卒業、転校し、学校の廃止の認可を受けた場合となります。もしくは、設置している学校が他の学校法人へ設置者の変更というケースもありますが、この場合は、学校法人の合併という手続きを取ることになります。破綻、すなわち民事再生や破産という場合も解散ということになるかもしれませんが、この場合の手続きは、私立学校法や裁判所の決定に従うことになります。

学校法人が解散して、財産が残った場合に、その財産をどう処分するかを定めたのがこの条文ということになります。私立学校法では、残余財産は寄附行為で定めることになっていますが、公益法人であり税金による補助金を受けている立場ですので、公益性のある団体に帰属させることが当然と考えられます。一般的には他の学校法人への寄付ですが、地方公共団体や国ということも考えられます。なお、私立学校法では、寄附行為に明記していない場合は、国に帰属させるとなっています。

2011年4月10日日曜日

解散(寄附行為の書き方)

(解散)
第三十九条 この法人は、次の各号に掲げる事由によって解散する。
一理事会における理事総数の三分の二以上の議決及び評議員会の議決
二この法人の目的たる事業の成功の不能となった場合で、理事会における出席した理事の三分の二以上の議決
三合併
四破産
五文部科学大臣(都道府県知事)の解散命令
2 前項第一号に掲げる事由による解散にあっては文部科学大臣の認可を、同項第二号に掲げる事由による解散にあっては文部科学大臣の認定を受けなければならない。

解散に関する規定は、私立学校法に規定されていますので、上記については必須の項目となります。これら以外に解散の理由を明記することは可能ですが、現状の学校法人の寄附行為のではほとんど見受けられません。解散に必要な評議員会や理事会の議決については法律の規定を下回ることはできませんが、逆に厳しくすることは可能です。3/4以上や全員の賛成、出席者の2/3以上という規定にすることは問題ありません。

2011年3月31日木曜日

会計年度(寄附行為の書き方)

(会計年度)
第三十八条 この法人の会計年度は、四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終るものとする。


これは私立学校法の48条そのままです。法令で会計年度が定められていますので、学校法人はすべて4月スタートで3月決算ということになります。一般企業のようにまちまちではありませんので、分かりやすいのですが、すべての学校法人の決算が集中し、その2ヶ月以内に決算承認のための評議員会、理事会が開催されることになります。そのため、複数の学校法人の役員を兼務している人は大忙しということになります。日程が重なって欠席ということにならないように、事前に日程の調整が必要になるかも知れません。

2011年3月20日日曜日

資産総額の変更登記(寄附行為の書き方)

(資産総額の変更登記)
第三十七条 この法人の資産総額の変更は、毎会計年度末の現在により、会計年度終了後二月以内に登記しなければならない。

決算が終わると、その学校法人の資産の総額が判明します。1年間にまったく資産の増減がないことは珍しいですので、通常は、この資産の登記が必要となります。株式会社では、一般的に2年に1度程度の役員の重任登記程度ですが、学校法人では毎年、登記をすることになります。

一度、登記の方法を覚えてしまえば、それほど面倒な手続きではありませんので、司法書士に依頼せずに自分でできます。3月が会計年度末ですので、5月末までに登記をしなければならないということは、覚えておきましょう。

2011年3月13日日曜日

謹んでお見舞い申し上げます。

この度の東北大震災で被害に遭われた方々に、心から謹んでお見舞い申し上げます。

今出来ることは、義援金とそれを促すTweetをすることくらいですが、震災の復興には何年もかかることを阪神大震災で身にしみています。まずは、人命救助が最優先ですが、これから、長い復興の道のりになります。微力ながら完全に復興が終わるまで、何らかのお役に立てればと思っています。

2011年3月5日土曜日

財産目録等の備付け及び閲覧(寄附行為の書き方)

(財産目録等の備付け及び閲覧)
第三十六条 この法人は、毎会計年度終了後二月以内に財産目録、貸借対照表、収支計算書及び事業報告書を作成しなければならない。
2 この法人は、前項の書類及び第十六条第三号の監査報告書を各事務所に備えて置き、この法人の設置する私立学校に在学する者その他の利害関係人から請求があった場合には、正当な理由がある場合を除いて、これを閲覧に供しなければならない。

1項目は3月が期末で、5月末までに決算をする旨の規定ですが、私立学校法47条に定められている内容と同一のものになります。2項目も同47条の規定と同じです。最近は、ホームページで公開している学校法人も増えてきましたが、税金を原資とする補助金を受けている以上、広く国民に公開するのは当然と言えます。

なお、ここで言う利害関係人とは、生徒、保護者、教職員や卒業生などを指します。

2011年2月28日月曜日

決算及び実績の報告(寄附行為の書き方)

(決算及び実績の報告)
第三十五条 この法人の決算は、毎会計年度終了後二月以内に作成し、監事の意見を求めるものとする。
2 理事長は、毎会計年度終了後二月以内に、決算及び事業の実績を評議員会に報告し、その意見を求めなければならない。
〔3 収益事業会計の決算上生じた利益金は、その一部又は全部を学校会計に繰り入れなければならない〕。


決算は監事と評議員会の意見を求める必要があります。意見であって、承認は必要ありません。決算ですから、否認されても、どうしようもないということでしょう。当然、意見は尊重する必要があります。
3つ目の項目は、収益事業で得た利益の処分方法についてです。収益事業は、学校法人の運営を助けるために行うわけですから、学校法人会計に繰り入れるのが当然と言えます。ここでは、あえてそれを明記している訳です。

2011年2月20日日曜日

予算外の新たな義務の負担又は権利の放棄(寄附行為の書き方)

(予算外の新たな義務の負担又は権利の放棄)
第三十四条 予算をもって定めるものを除くほか、新たに義務の負担をし、又は権利の放棄をしようとするときは、理事会において出席した理事の三分の二以上の議決がなければならない。借入金(当該会計年度内の収入をもって償還する一時の借入金を除く)についても、同様とする。

予算は理事会の承認が必要ですが、金銭の出入りを伴わない場合でも、借金の保証人になる場合などは理事会の承認が必要となります。予算に関係ないからと勝手に保証することは、経営に大きな支障を及ぼすことがあるから当然と言えるでしょう。また、権利を放棄する場合も同様です。ただし、年度末までに返済する短期の借り入れは除外しています。

このような事項は理事会で決議し、議事録に残すと同時に、決算書にも記載すべきとされています。お金の出入りがないからと安易に考えずに、処理する体制が必要です。

2011年2月11日金曜日

予算及び事業計画(寄附行為の書き方)

(予算及び事業計画)
第三十三条 この法人の予算及び事業計画は、毎会計年度開始前に、理事長が編成し、理事会において出席した理事の三分の二以上の議決を得なければならない。これに重要な変更を加えようとするときも、同様とする。


学校法人における理事会の最も重要な仕事が予算と事業計画の作成です。この予算と事業計画は一体なので、これらは同時に編成することになります。そのため、この両者の決定に特に重きを置いて3分の2以上の賛成で議決するとしているのがこの条文になります。しかし、3分の2以上とした場合、予算が可決されずに執行できないという事態になりかねませんので、その場合に備えた条文も必要になります。この3分の2は法令の要求ではありませんので、他の議案同様に過半数とすることも可能です。

なお、予算、事業計画は評議員会への諮問事項になります。

2011年2月5日土曜日

会計(寄附行為の書き方)

(会計)
第三十二条 この法人の会計は、学校法人会計基準により行う。
2 この法人の会計は、学校の経営に関する会計(以下「学校会計」という)及び収益事業に関する会計(以下「収益。事業会計」という)に区分するものとする。


学校法人の会計は、学校法人という特別の会計で、企業会計とは違います。この学校法人は文科省令18号で決められています。詳しくは省略しますが、企業会計でいう損益計算書にあたる消費収支計算書と、企業会計でいうキャッシュフロー計算書にあたる資金収支計算書、それに貸借対照表が主な計算書類になります。

また、学校本来の会計と、収益事業は分けて処理する必要があります。この収益事業の会計は、企業会計に準じて行うことになります。

2011年1月29日土曜日

経費の支弁(寄附行為の書き方)

(経費の支弁)
第三十一条 この法人の設置する学校の経営に要する費用は、基本財産並びに運用財産中の不動産及び積立金から生ずる果実、授業料収入、入学金収入、検定料収入その他の運用財産をもって支弁する。


この条文は、学校の運営に要する費用の出所をを定めています。学費は当然として、それ以外に、基本財産と運用財産の不動産及び積立基金の果実とありますので、学校法人が持っている不動産の貸付や基金の運用による収入を明記していることになります。学校法人は、その基金を運用して収入とすることを前提にしているということになります。もちろん、ハイリスクの運用は慎むべきですが、ある程度の運用は学校法人の本来の業務とも言えます。

運用財産の果実には、収益事業も含まれます。基金の一部を出資して事業を行うことも果実を得るための手段です。ただし、何をしても良いという訳ではなく、寄附行為には、行っても良い収益事業を列記してあります。この「寄附行為の書き方」では第5条がそれに当たります。

2011年1月21日金曜日

積立金の保管(寄附行為の書き方)

(積立金の保管)
第三十条 基本財産及び運用財産中の積立金は、確実な有価証券を購入し、又は確実な信託銀行に信託し、又は確実な銀行に定期預金とし、若しくは定額郵便貯金として理事長が保管する。

言うまでもなく、基本財産や運用財産は、学校法人の財産の大半をしめる重要な資産です。重要な財産ではありますが、この財産の果実もまた、学校運営にとって必要です。そこで、安全な方法で運用するように規定しているわけですが、昨今の低金利では国債や定期預金で運用していたのでは、ほとんど利息を得ることはできません。そこで、高利回りを求めてリスクの高い運用をする学校法人が、リーマンショックで大きな損失を出したのは記憶に新しいところです。

リスクを取ることを禁止している訳ではありませんので、きっちりした体制で運用するような規定を設けても良いでしょう。しかし、実際問題として、小規模な運用ではコスト倒れになりますので、お薦めはしません。ちなみに、八洲学園では、全額を決済制預金に預けて、一切運用は行っていませんん。

2011年1月7日金曜日

基本財産の処分の制限(寄附行為の書き方)

(基本財産の処分の制限)
第二十九条 基本財産は、これを処分してはならない。ただし、この法人の事業の遂行上やむを得ない理由があるときは、理事会において理事総数の三分の二以上の議決を得て、その一部に限り処分することができる。

基本財産とは、学校を運営するに当たって必要な校地・校舎・教具などで、これを処分できないというは当然の規定とも言えますが、移転や建て替えで古い校地や校舎を処分するということはあり得ます。また、経営難で已む得ず手放すということもあり得ます。もちろん、学校の設置基準を満たさなくなるような処分は出来ませんので、「その一部に限り」という表現がされています。